半年終了

なにせ、あっという間。
4月に入ってからは自分でも自分を見失う様な毎日だった。
昨日ようやく今年度に入って初めて遊びに出掛けた。


神奈川フィルの事務局のパーソナルマネージャーの中条くんが6月の半ばに
「ひろやすさん、名古屋フィルさんの合同演奏会が終わった後の数日間で夜に時間がある日はありますか?」
と聞いてきた。
僕が手帳を見て28日29日の夜だったら大丈夫だと答えると彼は次の日『巨人対中日』戦のチケットを買ってきた。
「一緒に観戦しに行きましょう」と。
しかもお金を受け取らない。
理由を聞くと、彼が5月の京響の定期に夜行バスで聴きに来てくれた時に普通にランチを御馳走したり、失敗もありながらもあまりに仕事を頑張っている彼の姿を見ていて、「とにかく良い仕事は良い時計からだ」と何の根拠も理由もなく昔に使っていたロシア製の手巻き時計をプレゼントした事をずっと彼は気にしていたらしい。
そのお礼だと言う事だった。

新たに何かを買って贈った訳でもないのに逆に申し訳無かったけど、有り難くチケットをもらって一緒に中日ドラゴンズ側で観戦した。
残念ながらドラゴンズは負けてしまったけど、久しぶりの野球観戦だったし、やっぱりライブ空間は日常を忘れさせてくれて凄く開放された気分になれた。

観戦中は野球の話が多かったけど、もちろん音楽の話も沢山した。
中条君の並々ならぬ音楽への愛情は僕がたじろぐほど。
そんな彼が40歳や50歳になったら、一体神奈川フィルはどんなオーケストラになっているんだろう?と妄想するだけでも愉快だった。


神奈川フィルの常任指揮者の川瀬さんが先日の名古屋フィルとの合同演奏会の後、
「クビにならなければ神奈川フィルの50周年の時までやりたいと思っている」という事をおっしゃったらしいけど、是非やって頂きたいと思う。


オーケストラが良い方向に変化するのは恐ろしいほど少しずつだ。
一挙に何かが良い方に動く様な事はない。
それはオーケストラで働く人はみんな知っている筈だ。
でも、悪い方に行ったり、落ちる時は半年あれば十分過ぎる。
1年あれば別のオケと思われるぐらい転げ落ちる物だ。


でも僕は信じてるよ。
別に野球のチケットを貰ったからではなく、
中条君のような若者がさらに音楽を愛していき、川瀬さんの様な若きリーダーが今よりももっと音楽と格闘して、それにオーケストラのメンバーの多くが音楽にもっと真摯に向き合えば、誇れるオーケストラになると思う。
最近、首都圏のオーケストラはかなり聴きに行った。もちろん神奈川フィルも含めて。だから余計に確信に近い想いがあるんだよね。


明日から 2016年の後半が始まる。その初日の午前中はとりあえず僕は歯医者さんに行かないと行けないけど、神奈川フィルのみならず、日本中のオーケストラが良い方向に少しでも進んでくれたらと思っている。