チェロの日

先日、日本チェロ協会主催の「チェロの日」が今年も行われ、その第1日目にベートーヴェンソナタの2番を弾かせてもらった。
お客様は一般の方ももちろんいらっしゃって下さったけれど、ほとんどがチェロ協会の会員の方々とチェロ界の大御所、僕の先生達によって占められていた。


そんな中でチェロ弾く事は言葉にならないぐらい緊張したけれど、僕にとっては新たなチャレンジだったし、演奏の善し悪しは皆さんが判断するにしても無事に弾き終えられた事は今後の為の財産になったとは思う。
コンクールで審査されていた先生方や大学の試験で常にいらっしゃった先生が客席にいらっしゃる事を知って舞台に出ると言うのは、普段のコンサートの緊張とはまた違った恐ろしさが加わる。


僕がまだまだ未熟だなと思ったのは「30年前よりは多少は成長出来たでしょうか?」と先生方にお伺いを立てる様な無駄な事を心に秘めて舞台に出た事だ。
そうすれば当然(上手に弾かなきゃ)とか(こういうベートーヴェンを弾かないと怒られる)とかそんな事を考えて弾いているようではダメだわ。


このコンサートの後にチェロ協会の会員さん達との懇親会があり、それに参加したけど、皆さんチェロ愛が半端じゃなく、話していても圧倒された。
ベートーヴェンの2番を敢えて選曲された理由を教えて下さい!」
とか
「あの指遣いはオリジナルですか?それともどなたかもその指遣いで弾いているんですか?」等々。
何一つまともに答えられない様な質問ばかりされて往生した。


日本チェロ協会は会長が堤剛先生。副会長が中島顕先生。
実は中島先生は僕の子供の時のチェロの先生。
でも、そんな先生方がいる中で弾かせてもらった事は本当に感謝。
その環境を作ろうと思っても出来ないし。


その先生方の中で電話を下さった方もいて、その言葉が有り難かった。
僕の今の状況をドンピシャで言って下さり、アドヴァイスを頂いた。
他の楽器の世界は全くわからないけど、チェロの世界の良い所は、沢山先生がいてもみんなでチェリストを育てようと言う空気がある所。
誰々のお弟子さんという所を超えて、みんなが意見や感想を言ってくれる。

それなのにそこで良い所を見せようとしてる僕はまだまだ未熟にも程がある。


1月1日にあの世に旅立った猫ちゃんの遺骨を葬儀の方に本当に小さなカプセルに入れてもらったんだけど、それをコンサートではスーツのポケットに忍ばせて演奏した。
だから何、というわけではないけれど、まだまだ彼女がいない生活に慣れなくて。
20年ずっと留守番していた訳だから、初めてコンサートを聴いた事になるね。