オーケストラについて 1

オーケストラで働いて25年を超えた。
都響で4年、その後2年ほど全国のオーケストラをさすらい、神奈川フィルと契約して19年が経った。
全国のオーケストラで出会った友人達とは音楽の話からそのご当地のオーケストラ事情まで本当に多くの事を話した。そして膨大なオーケストラの仲間達にお世話になった。
有り難い事だったと思う。


僕自身がほんの少し成長する事は、本当に努力したって米粒1粒成長出来たら大成功なのは昔から感じてた。
下手すると最大限練習しても現状維持がやっとである事も。
長いスパンでないと結果はわからない。
だから今頑張ってる事は10年後にしか現れないと思ってる。
つまり、今の僕の演奏は10年前何をしていたかの結果なんだと。


よく「オーケストラを良くする」とか「オーケストラが上手くなった」という話を聞くけど、それは本当にそうなったんだと思う。それは確実に一人一人の努力もあるけれど、やはり素晴らしい奏者がオーディションで入って来た事が相当大きいと思う。
比較しちゃいけないけど、自分の成長を考えるととてもじゃないけど簡単に上手くなるなんて不可能。
オーケストラもそうだと思う。

1つの基準として素晴らしい奏者を素晴らしいと評価して、合格を出す事が出来るオーケストラが良いオーケストラ、あるいは1流のオーケストラなんだと思う。
そして、その素晴らしい奏者が新たに入団すると教えられる事が沢山あって、入団した奏者も中堅ベテランから学ぶ事が沢山あり、相乗効果でオーケストラは上昇気流に乗れる。
もちろん指揮者というのはもの凄く影響が大きいものの、内部での上昇はそれでしかなかなか出来ないと思う。


だから一番大事なのはオーディションだと思うんだよね。
僕ももう大人になったから正直に胸の内を明かしてもいいかと思うので書こうと思う。

オーディションには課題があって、協奏曲を演奏する事と、オーケストラスタディ(オーケストラの曲のその楽器の重要だったり目立つ所を弾く事)の二つが必ずある。
あとはオケによっては室内楽を団員と一緒に演奏したりとか、いろんな試験はあるにしても、まずは前に書いた2つは必ず通らなければいけない関門。

まずその協奏曲を演奏する時気をつけて欲しいのは伴奏者をちゃんと選ぶ事は相当大切だと思う。
何故か。
ピアノで便宜上伴奏して頂くけれど、オーケストラに入ると言う事はそのピアノが伴奏してくれた部分を演奏する事が仕事であるって言う事。
だからいい加減な伴奏者で良しとしてる人はオーケストラに入ってもそういう伴奏しかしないだろうと少なくとも僕は判断する。
でもその伴奏によって良い演奏になる時もあるし、足を引っ張られる事もあるのは多くのオケの仲間は口を揃えて言うから2つの理由からピアニストをちゃんと選ばないと1次オーディションは突破はまず無理だと思う。


オーケストラスタディについてはまた長くなるので次回書きたいと思う。