ダイ(9+フーガ)

今日はドボルザークのチェロ協奏曲の伴奏だった。
巨匠堤さんの演奏は心を打ったし、僕のオーケストラでのチェロの首席という仕事の力を試された様な本番だった。
まあ僕の事はどうでも良く、高関さんの指揮も先日の京都でのブラームスのピアノコンチェルトの時と同様、理知的であり、静かなる情熱を放出させていて素晴らしい指揮だった。オーケストラも、特にこのドボルザークのチェロ協奏曲の木管楽器の難しさは相当なものだと思うけど、素晴らしい演奏だったと思う。堤さんにしても木管楽器の連中にしても熟練とはこの事かという見本を教えられた。


明日は僕にとって今年最後のコンサートとなる。
そう、「第9」。
その為にと言う訳ではないけど、「敬愛なるベートーベン」という映画のDVDを何度も繰り返し見ている。架空のストーリーではあるけれど、挿入されているベートーベンの曲が最近ずっと離れない。

特にo.p.131や大フーガは僕の頭、脳にまとわりついている様だ。


ボッセ先生が指揮をして神戸室内でこの「大フーガ」を演奏した事がある。
リハーサルの初日、ボッセ先生が1度「大フーガ」を通して黙った。
そして10秒ぐらい経った時にこう仰った。
「なんて凄い音楽なんだ。なんて素晴らしい音楽なんだ。凄い、凄い・・・・」

ボッセ先生にしてみればカルテットで数え切れない程演奏していただろうし、指揮をされた事も何度もあったはず。その彼が「なんて凄い音楽なんだ・・・」と言う。僕は当時その凄さも素晴らしい曲ともそこまでは思っていなかった。
いや、今だってそんなこの曲を知り尽くした訳でもなんでもない。
でも僕の次元でも「あまりに凄い」とは思っている。
第9の骨組み、いや、逆に第9をどんどん削って削って、最後に現れる核がそのままベートーベンのモノローグになった、という気がしている。


明日はベートーベンの独白が始る前夜である彼が目指し到達した世界を、オーケストラの1人としてその役に全精力を投入しようと思う。

第九のその後である「大フーガ」をもう一度ブタペストカルテットで今夜は聴いてみようと思ってい