明けましておめでとうございます

ある日玄関を開けると2匹の三毛猫が突然現れた。
同じ様な三毛のデザインで、少しだけ黒の部分が多い方を「クロ」、
比べると少しだけ小さい方を「チビ」と呼んでかつお節などをあげ始めた。
もう20年も前の話。
それから「チビ」は一匹狼で懐くことはなかったけど、「クロ」は次第に家に入って来る様になり家に住み着いた。
それから5匹の子供を生んだけど、その子供達も全員他界してしまった。
最後まで元気でいたのが「クロ」だった。

2016年のカウントダウンも終わり、2017年を迎え初日の出ももう少しでという頃、20年一緒に暮らした「クロ」があの世に旅立った。
秋頃から少し体調を崩したものの、こんなに早くお別れがくるなんて。
12月18日から28日まで仕事で京都にいたけれど、最後の方は京都・東京を往復していた。


年間100日は家を空けているし、ひょっとしたら看取る事が出来ないのかなとも思っていたけれど、クロは頑張って待っててくれた。待ってるだけじゃなく、そのあと数日間は一生懸命お世話をさせてくれたし、一緒に新年を迎えようという僕の希望も叶えてくれた。


いたずらなど一切しない猫で、ある意味臆病で慎重な猫だったけど、家にいるのが当たり前になっていて、いなくなる事がどうしても想像出来なかった。
でもその日は容赦なくやって来た。
でも一緒に新年を迎えてくれたんだから、あんな飲まず食わずで最後まで頑張り続けたクロ以上に頑張らなきゃと思う。

当たり前で笑われるけど、クロは経済やお金に対しての価値観は皆無という姿勢で生きていた。
「不快か幸せか」だけで20年生きた。
彼女が旅立つその時を見ながら、お金では買えない音楽の価値をもっと深く勉強しようと心に決めた。

去年の今頃、僕の好きな東京新聞さんが「クロ」を取材して下さった。僕ではなく「クロ」を。
東京新聞の大元は愛知県を中心とする新聞「中日新聞」だから、実家の父親はもちろんの事、名古屋の知り合いからも多くの連絡を頂いた。
そして僕の50歳の誕生日のリサイタルの紹介も一緒に載せて頂いた。
良い想い出だな。

母親にしても叔母にしても「クロ」にしても、大事な人を亡くす事で僕は学び、そして自分の死への準備を段々するんだなと思った。
まだまだだと当然思っているけど、その日がいつ来るかわからない。
その為にも、クロと最後に過ごした3日間の様に大切に時間を過ごしたいと思う。


新年早々こんな話で大変申し訳ありませんでした。
官庁の仕事初めが今日と言う事もあり、書かせて頂きました。
クロがちょっと調子を崩し始めた2か月前からどうしてもブログの更新ができなかったなぁ。



今年もよろしくお願いいたします。