やる気がないだと?

最近は東京スカイツリーの登場でめっきり影が薄くなった東京タワー界隈での仕事に参りました。
夜、帰るときにしばらく東京タワーを見上げていましたが、いやいやそれはそれは美しく荘厳、力強いお姿を見せてくれました。
こんなにちゃんと東京タワーを見上げた事もなく、あまりの美しさにちょっとびっくりいたしました。
良いもんじゃないか。

その仕事で久しぶりに会う友人が、「先日のJTホールのチェロアンサンブルを聴きに行ったぞ」と。

JTホールはご存知の方も多いと思いますが、座席が平面に置かれているため、後ろの方の座席からは弾いている姿はあまりちゃんとは見えず、さらにチェロは座っての演奏ですから、頭ぐらいしか見えません。
そこで友人が言うには
「音はもちろんいい響きで聴けたけど、12人のチェリストの頭しか見えなかった。でも裕康の頭は本当に動かなかったから、やる気が無いのかと思ったよ」と。

おいちょっと待て。

見える頭だけで判断するなよ。

昔、とある友人から言われた事がある。「昔の巨匠のビデオを早回しで見ると『軸』が全くぶれない事がわかる。どんなに身体を動かしていても全く『軸』はぶれない」と。

今、それを必死に姿勢とともに目指している所なのよ。
もちろんただ固まって弾く訳ではないんだけどね。
昔ヨーヨーマにレッスンを受けた時も、
「絶対に頭を動かすな、頭を下に下げると楽器に近づいてホールに響く音を聴く事が出来なくなる、絶対に動かしてはならない」
と言われ続けた。

頭を上下する指揮者もろくな指揮者はいないし。

まあ、やる気が無いと言われたが、それは実は僕にはちょっとした褒め言葉でもあったのよね。

でも確かに身体を動かしまくる方が華麗に見えるし、格好がいいんだろうな。
それを思うと複雑だけど、僕はそういうキャラでもないしな。
東京タワーの様に美しく荘厳で力強い演奏を目指しますか。