ドン・キホーテ

9月10日の神奈川フィルの定期演奏会リヒャルト・シュトラウスの「ドン・キホーテ」を演奏します。僕にとっては14年ほど前に東京シティ・フィルの定期演奏会で弾きましたから、人生2度目の「ドン・キホーテ」となります。


チェリストにとって、極上のコンチェルトは沢山ありますが、僕の中での頂点はやはりドボルザークのチェロ・コンチェルトかなと思っています。
ショスターコービッチ、ハイドンシューマン等のコンチェルトはどれも人類の宝である事は言うまでもありませんが、ドボルザークは個人的には頭1つ抜けています。
そのドボルザークのコンチェルトと双璧を成すチェロとオーケストラの為の作品が、この「ドン・キホーテ」です。カテゴリーはコンチェルトではなく交響詩ですから、同じ土俵で語る事は意味が無いかもしれませんが、これほどの曲をチェリストに書いてくれたリヒャルト・シュトラウスには足を向けて眠れません。物語の隠れた哲学的な要素とこの音楽、何度聴いても落涙は必至。凄い曲です。


聖書に次ぐロングセラーで近代小説の元祖とされるセルバンテス作の「ドン・キホーテ」。
読みましたが、そのシーンで描かれているリヒャルト・シュトラウスの圧倒的な筆力と音符の魔術には感動を越えて呆然とします。
編成もかなり大きく、なかなか演奏される機会のないこの名曲を演奏させてもらえる事を本当に感謝します。
今年のサイトウ・キネンリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」ですから、2010年の僕の夏はリヒャルト・シュトラウスに身も心も捧げる夏です。