おいらは虫けら

明日は定期演奏会で「皇帝」と「英雄の生涯」。


英雄の生涯は今まで何度演奏したのか、ちゃんと記録していないのでわからないけど、意外にリヒャルト・シュトラウスの曲の中では多く演奏してきた気がする。僕がプロのオーケストラで仕事を始めた直後、仙台フィル・円光寺さん指揮で演奏したのが初めての経験だったと思う。

その頃はいい曲だなぁとは思ったものの、これほど素晴らしい曲だとは当然気付く事もなく、なんだか難しい曲を書く作曲家だなリヒャルト・シュトラウスは、なんて思ってたぐらい。

でもそれから23年の月日が経ち、「凄い曲としか言いようがない」という所まできた。ただ楽譜を弾くだけならリヒャルト・シュトラウスの曲の中ではかなり簡単な方だ。いや、簡単だ。
でも、音楽を考えると夥しい可能性と引き出しを駆使しても未だに迷ったり、整理がついていない所が結構ある。

皇帝はベートーベンのコンチェルトの中では最も多く演奏していると思う。
これは30回ぐらいは演奏してるかなぁ。
でも、回数なんてなんの意味を持たない。
何度弾いても「これだ!」という事にはならない。
ベートーベンは本当に素晴らしい。
昨日もオーケストラのリハーサルの後、大学でカルテットのレッスンをしたわけだけど、曲がベートーベンの18−4だった。
これが何とも素晴らしく、この上なく幸せ感に満ちた時間となった。


ベートーベン初め、多くの偉大な作曲家や作品が夜を照らす満月だとすると、
僕はそれに向って必死に鳴く鈴虫だ。
誰かに、僕の鳴く歌が届いてくれたらとも思うけど、いいんだよ、満月がある限り僕は鳴くよ。