今日の雑感

2014年に入ってから、もっと言えば2013年の12月から心休まる日は1日もなかった気がする。
いや、もっと言えば10月の終わりにあったショスターコービッチのコンチェルトを弾いたその3ヶ月前、夏前から。

オーケストラ、室内楽が僕の仕事のフィールドではあるけれど、その合間にソロを弾かせてもらう機会を与えてもらっていて、それは全て自分のためでもあると同時に、オーケストラに貢献するための経験だ。
それが去年から今年の前半にかけてはあまりに多く、つまり僕にはギリギリのスケジュールとなった。
それを最終的に引き受けたのは自分だからもちろん挑まないといけない。

1月の25日26日にブラームスのドッペルコンチェルトを弾き、2月1日には名古屋でドン・キホーテ、そして明日22日は川崎でドボルザークのチェロコンチェルトと一ヶ月の間にチェロの3大Dを演奏する事になる。
こんな大変な経験は今までになかった。

何が辛いかと言うとその練習の割り振り。
その3大Dだけで12月から過ごすならまだしも、その間にオーケストラの仕事はもちろん、チェロ2本のコンサート等色々仕事は普通にあり、その合間の練習は体力と気力との戦いだった。
何度も各々のオーケストラにはお願いしてリハーサルに参加させてもらい、撃沈して帰ってくるという日々も経験させてもらった。

しかしながらその期間中に「ソチ・オリンピック」が開催された事は誤算だった。
誤算と言ってもそれも見ずに練習すればよいのだけど、夜中の1時前ぐらいに練習を終え、くたくたになった所でテレビをつけるとオリンピックが常にやっているから仕方がない。
ところが、このオリンピックに出てる方々の想像を絶する努力と苦しみ、怪我との戦いを見ていると、自分がいかに小さい事で一喜一憂していたのかを知る事ができた。
そして41歳の葛西さんのメダル、浅田麻央さんのフリーの演技からは感動以上のものもらった。
そして明日への勇気どころか、生きる事の大変さ、それを乗り越えた方々の結晶を振り掛けてもらったようで、大変貴重な時間となった。
ひたすら練習してただけではこんな想いになる事はなかったし、全ての参加選手には感謝したい。
そして前回書かせてもらったけど、故郷で頑張ってる友達を想うと怠けてられないんだよね。

そのさとる君からもブログを読んだぞとメールをもらい、再び泣いたよ。
あいつ。泣かせるじゃんかよ。まったく。
彼だけじゃない。
メールをくれる故郷の友人に何度泣かされた事か。

一人で挑んでるなんて思ったりして、僕は本当に傲慢だったな。

最後は一人で舞台に出て行くんだけど、そんな恐怖より、結局演奏家の一番苦しい仕事は孤独な練習だ。
その一番辛く苦しい時間を支えてくれた多くの人に有り難うございましたと言いたい。