指揮者、沼尻さん

今日は「題名のない音楽会」の収録のリハーサルがあった。指揮者は沼尻さん。
沼尻さんの指揮の元で演奏するのは個人的には久しぶりであります。
桐朋学園は先輩でも後輩でも「〜君」と君づけで呼ぶのが当時普通で、沼尻さんは先輩であるにも関わらず、僕は「沼尻くん」と呼んでいました。
今はとてもそんな沼尻くんなんて呼べませんが、ついつい沼尻くんと呼びそうになるんだよな。危ない危ない。


僕が学生当時、優秀な人達は卒業試験や、重要な時の伴奏には必ず沼尻さんか、渡辺一正さん(指揮者)が伴奏をしていました。
つまり沼尻さんか渡辺一正さんが伴奏してもらっている人は優秀なんだという一つの指標軸になっていたほどです。
二人とも抜群にピアノが上手かった。しかも二人とも専攻は作曲科。
まあ、僕なんかはよだれが出る程羨ましい耳の良さを誇っていました。


今日、沼尻さんがピアノを弾く曲が2曲ほどありまして、彼のピアノを聴きながら、弾いている姿やそのクリアな音、タッチなど昔を思い出し、懐かしい気分に浸っておりました。
学生時代、江藤俊哉先生の集めた弦楽オーケストラがありまして、そのメンバーでフランス、パリに行くかもしれないという話が出た時に、
沼尻君と「セーヌ川で足をパチャパチャやろうよ」と本当に幼稚な事で盛り上がった記憶があります。それが今はマエストロですからね。何かがおかしい。
沼尻くんも一正くんも、他の演奏家もみなさんどんどん偉くなっていって、一人でまだ幼稚な所から出られないでいる気がしてなんか恥ずかしいな。


目指しますか、指揮者。
いや、撤回撤回。無理です。
人の目を見て話せないぐらいですしね。無理です。