チャレンジ

(僕の職業はなんだろ?)
と思う事もある。
チェリスト」と言う事になるとは思うけれど、当然その中にも色んな職種がある。
当然ソリストではない。
やはりオーケストラ弾き、いわゆる「オケマン」なんだと思う。
その中で当然室内楽は重要なチャレンジだし、ソロを弾かせてもらう事も大変なチャレンジになっている。


先月ぐらいに必要があって業績書、実績書なる物を作成しなくてはいけなくて、それにかなり時間を費やしたのだけれど、年間ごとに室内楽やソロのやって来たコンサートを書き出した。
幸運な事にずいぶんいろんな事をやらせてもらってきたと思った。
あのコンサート以外はずっとオーケストラで働いている訳だし、ここ数年は京響さんやセントラル愛知さんにもお世話になっているわけで、その合間にソロと室内楽を結構頑張ってやって来たのだと思った。


よく、音楽家が口にする「勉強になった」という言葉。
僕もそれは思う事がある。「勉強になったな」と。
それは個人の引き出しを多くさせてくれる物ではあるけれど、決して僕自身が成長する為だけではないと思っている。これを還元しない事には、なにも意味をなさない。
綺麗ごとかもしれないけど、僕の昔からの基本スタンスは自分で経験して来た事全てはどこかかなフィルに還元できたらとずっと思ってやって来た。
京響さんに言ってもセントラル愛知さんに行っても、サイトウキネン・オーケストラに行っても、良い事は良い事として持ち帰りたい。
それはソロも室内楽も一緒。
それをやって僕がほんの少し勉強になったからって、それを生かす場所がないと何の意味もない。
その生かす所がかなフィルであり、生徒さんに教える事であるだけなんだよね。

チャレンジを止めたら後は下降線だと言う事もわかってる。だから多少無理っぽいけどチャレンジする。

その最初の僕のチャレンジがバッハの無伴奏チェロ組曲全曲のツアーであり、録音だった。
そして40代最後の歳に先日2日間に渡って弾いたベートーベンのソナタ、変奏曲全曲(8曲)の演奏会だった。50歳になったら、この二つのセットと後はブラームスソナタやいわゆるチェロの素晴らしいソナタを演奏する事と、多分ベートーベンのカルテットを演奏するグループを作り演奏する事、その4つのセットを柱とする生活をして行きたいと思っている。


僕はソリストではなく、出だしは通奏低音を得意とするチェロ弾きになりたかった。
それが僕を未だに助けてくれていると思っている。
逆に、低音部を弾いているのに、小節やその拍の和音を知らずに低音部を弾くなんて事は考えられない。
それを知らなきゃオーケストラでもカルテットでも絶対に仕事なんか出来ない。


昔にぼんやり思っていた「60歳がピークになるような演奏家」に年齢だけは段々近づいて来た。
そんなに手を広げる事も出来ない。
40代までに良い悪いは別にして何度もチャレンジして来た事を深めて行けたらと思う。
そしてそれがオーケストラに対して貢献できる事、そして生徒さんにもちゃんとした事を教えられる事、さらには今まさに計画を進めているけれど、アマチュアの方々にそれを伝えて行き、社会貢献が出来る事が今後の生き方の目標になって行くと思う。

ホントの意味でのチャレンジが始まろうとしている。