この秋

もう11月。あと2ヶ月で2014年も幕を閉じる。
夏のサイトウキネンから帰って来てから、1日も休む事なく今日まで来た。
僕には本当に厳しい秋だった。あまりにも。振り返れないぐらい過酷だった気がする。
一体何曲練習して演奏したのだろう。いっぱいいっぱいだったし、今は限界を感じている。
そして今まで経験した事がなかった全日本学生コンクールチェロ部門と日本音楽コンクールチェロ部門という2つのコンクールの審査、そして日本学校合奏コンクールの審査という僕にはあまりにも重い仕事が今のこの体調の原因になってるんだろうな。

とは言え、コンクールは僕には重かったけどもの凄い勉強になった。若い人たちの演奏をここまで沢山聴く事も初めてだったし、今まで僕自身に課して来た、これからも課して行く事を5項目に分けて僕自身の採点方法にした事は今後多分オーディションや試験等には必ず役に立つ事になると信じている。
素敵な経験の機会を与えて頂き感謝でいっぱい。


本選会の結果は第1位が2名、第3位が1名、入選が1名という結果だったけど、全ての人に敬意を表したい。
あの独特のコンクールの雰囲気の中の堂々たる演奏はそれぞれ素晴らしい演奏だった。
第1次予選、第2次予選までは自分の採点方法の方程式で全て点数を出して来た。
本選会も当然そうして採点したけれど、筆に迷いが出た。でも最終的には自分の採点方法を一切変える事なく点数を書かせて頂いた。
11月21日の毎日新聞に全審査員の点数が載るらしいので、興味のある方は是非ご覧になって頂きたい。
信念を持つってこんなに大変な事だったのかと思い知らされた。


明日レッスンに行き明後日から再び京都、そして建長寺でのコンサート。神奈川フィルの定期があった後、名古屋、京都と行き、そしてハイドンC durのコンチェルトの本番がある。そして母親の7回忌を終えたら帰京してオケの仕事をしたら再び京都。


身体を壊さない様にしないと。
でも、毎回コンサートに来て下さる方々、もちろん1回でも僕の出演するコンサートに来て下さる方には本当にこの場をお借りして感謝申し上げたい。
僕の仕事は練習する事。
でも、いくら練習してもコンサートを作って下さる方と聴いて下さる方がいないと成り立つ事はない。


この秋、あまりに異常な毎日だけど、頑張らなきゃ。全ては人の為に。


吉田松陰が5歳6歳の頃、玉木文之進という先生にいろいろ教えられていたらしいけど、本を読んでいる松蔭の額に蚊がとまり、それを払いのけたらその玉木という先生、激怒して殴る蹴るの凄まじい折檻を加えたらしい。
折檻の理由が凄い。
「今本を広げてやっている学問は『私』のためにやっているのではない、身につけた学問を将来藩の為、天下国家の為にやっているのだ。いわば『公』の事をやっているのに、その最中に蚊が止まって痒いと言うのは『私』ごとである。お前は公私混同したのだ」
と言ったらしい。滅私奉公という事らしい。

というものの、ここまでの覚悟は僕にはないけれど、それぐらいの事思ってないと、僕は怠けるんだよな。