夏が終わった

夏が終わった。
例年だとサイトウキネンフェスティバル松本が終わってもまだまだ蒸し暑い東京に戻り、
夏の名残を楽しむ時間があったように記憶するけれど、今年は東京に戻って来てももうどう考えても秋の空気だ。
今年は松本も気温が例年より低く、雨も多かった。
しっかりと晴れたのは数日じゃないかな?
天気は色々あってもその対処はできるけれど、小澤さんの指揮はもはや時空を超え、僕の手の届かない場所に歩いていかれた様な気がする。
それにしても小澤総監督の「目」や音楽に対しての「姿勢」にいつもながら圧倒され感動する。
一体あれは何だろうと毎年考えても答えは出ない。
友人達とその話をしても結局いろんな意見は出ても答えは出ずじまい。
とにかく、恐ろしい程の磁場がオーケストラを包み、どこかに連れて行かれる。

書いているとキリがない。

今年も松本の街に、松本の方々に、そしてオーケストラのメンバー、スタッフ、本当に多くの方々にお世話になった。この場をお借りして感謝したい。
と言ってもこの場を何人の方が見ているのかはさっぱり未知数だけれど。


矢部、豊島両氏のコンサートマスターとしての凄みは小澤さんの進化と共に熟成され、本当に凄いコンサートマスターだと思った。
それに
「お前、ちゃんとやれよ」と叱咤された気がする。
頑張っていた筈なのに、僕を置いてどんどん進化、熟成する2人。
まあ当然僕を待っている事なんかする筈もなく、音楽の理解度やオーケストラのドライブの仕方まで、声が出ない程凄い。
もちろん二人は親友であり音楽の事なら何でも相談できる友人ではあるけれど、今年はそれもなんかはばかられるほど、二人の進化熟成には圧倒された。
そして松本での夏は終わってしまった。
重い課題をあたえられ、1年を過ごす事になる。
ありがたい話だ。
楽家なんて孤独なものだ。
誰も教えてくれない。
課題も自分で探すしかない世界で、その探すデパートが僕には松本にあると言っても良い。

帰京してすぐ、昨日だけど全日本学生コンクールの審査に行った。
高校の部、大学の部とあったけれど、若いチェリストが果敢にも難曲に挑み、立派な演奏を聴かせてくれた事に未来のチェロは安泰だと思うと同時に、あんなチェリスト達を審査するに値する音楽家にちゃんとならないとダメだと強く思った。
12日からは日本音楽コンクールの1次予選、2次予選の審査が待っている。
素晴らしい未来のチェリスト達の演奏を聴けるのは楽しみだし、刺激も貰えるんだろうと思う。
本当にここ1、2年、これから僕は何をすべきかとずっと悩み続けてきた答えがもうすぐ出るような気がする。
一人で悩んでいるようだけど、もの凄くたくさんの方々に悩ませてもらって、答えも導いてもらっているんだなと思う。


悩むより練習しろ、という声がどこかから聞こえてく2014年の秋。