ファビオ・ルイージさん

もちろん僕にとっては初めての指揮者ではあるけれど、
音楽が全て身体に入っていると言うのはこういう事なのね。
僕はそんなオペラをいっぱい経験している訳でもなく、
偉そうな事は言えないけれど、歌手に対してもオケに対しても、
「音楽がこうだからこうしないと」という場所にいる。
よくありがちな「歌を聴いて各自合わせてください、歌はその時の歌手の気分で変わりますから」なんて言う事はない。それはヴェルディだから。
音楽、フレーズ、ハーモニーがこうなってるから、こうしなきゃいけない。
当たり前の事を全ての人に言う。
一流の指揮者はそういう場所に必ずいる。

13時から20時のリハーサルも座る事なくリハーサルを続けられる体力と集中力。
凄いな。
まだ55歳と若いからかも知れないけれど、その音楽への姿勢に統率させられてる気すらする。
もちろん指揮も本当にわかりやすい。

ヴェルディは有名な序曲や有名なアリア、そして有名なオペラはやっては来た。
そしてこういう作曲家なんだ、という僕なりのイメージを持ってはいた。
でも、どうやら全く違うんだな。
この歳でそれを知った。
それは親友から教えられたムーティ語録や今回のファビオ・ルイージさんのリハーサルで
発する言葉からは僕のヴェルディに対するイメージは遠くかけ離れたものであったという事だ。
恥ずかしながら、僕にはヴェルディ元年だな。

まったく、なんでこんなイメージを植え付けられたんだろうな。
と人のせいにしたくなるよ。