家に住んでる猫を「くろ」と言う。
もう16歳。
全く昔と変わらず元気。
でも人間だと80歳を過ぎていると言う。
「くろ」と言っても三毛猫。
赤ちゃんの頃家の前に現れた時に2匹だった。
共に三毛猫で、黒い部分が少し多い方を「くろ」
身体の少し小さい方を「ちび」と呼んで区別していた。
その「ちび」はあるときから姿を見せないようになり、
「くろ」は家にご飯を食べに毎日来ているうちに家に住み着いた。


彼女は一日に一度散歩に行く。
わずか1分ぐらいの時もあるし、最近は相当短時間で満足して帰ってくる。
散歩に行きたい時は「出してくれ」と鳴きわめく。
出してあげて放っておくと「入れてくれ」と鳴きわめく。
雨の日、散々「出してくれ」と鳴きわめくので出してあげると、
雨を見たのか雨音を聞いたのか、5秒で帰ってくる。


今日、やっぱり昼頃「出してくれ」と言うので出した。
で、僕はコーヒーを飲んでいると、外からなにやらあまり鳴かない鳴き方で唸ってた。
ちょっと高齢でもあるし、心配になって玄関を開けると、
見た事のないシルバーの猫が彼女の先にいて、
しっぽを太くしてシルバーの猫を威嚇してた。
彼女はあれでも威嚇してたつもりなんだろうけど、僕やシルバーの猫からは
怯えて震えて唸ってただけにしか見えないよ。


でも高齢のおばあちゃん猫が、自分の家に来た見かけない顔の猫を
身体全てを使って追っ払おうとしている姿に心を打たれた。
僕が玄関からちょっと出たのを見てシルバーの猫はどこかに消えたけど、
「くろ」はしっぽを太くしたままビビっているのに「私が追っ払った」という顔をして、
小走りに家に入って行った。
そんな「くろ」にご飯をあげてなでなでしてあげたけど、いつもより食欲がないようだった。