バッハってやつは

昨夜、第2回目のバッハが終わり、残す所あと1回。
その合間にもバッハは単発で演奏しますが、やはりバッハだけのコンサートは身も心も削られます。
1日で6曲全部弾かれる方もいらっしゃいますが、僕には無理だなぁ。

体力もさることながら、頭の疲労度が極限になるのかな。
昨夜帰宅してからは失神KOされたボクサーの様でした。
気付いたら自分がKOされた事もよくわかっていないような。

とはいえ、あの寒さと雨の中、来て下さった方々には感謝申し上げます。
バッハを無我夢中に練習していると「マタイ受難曲」を聴きたくなる衝動があるんです。理由は全くわかりませんが「マタイ」なんです。
平均率を聴いても、管弦楽組曲を聴いても、バッハの何を聴いても落ち着かない。ホッと出来るのは「マタイ受難曲」だけなんですよね。
不思議なものです。

どんな曲もそうだけど、特にバッハは練習すればするほど迷宮に入り込んでしまい、下手するとその迷宮中の迷宮の日が本番の日になる事がある。雲が晴れる事は永遠にないにせよ、苦しいもんだな。

でも昨日の様な弓がお客様にあたるのではないかと言う近さでのシチュエーションは鍛えられる。
会場ではどう聴こえているのかわからないけど、少なくとも僕の弾いている場所では残響はない。
これぞ大リーガー養成ギブス的なシチュエーション。
でも、それは弾き手の勝手な希望であって、聴いて下さる方はバッハを聴きにいらしている訳で。
(響きが欲しい)と思っているうちはまだまだですな。

560ヤードのロングホールでホールインワンを狙っている様なもんだな。バッハの無伴奏は。しかもピッチングウェッジかなにかでね。

でも狙うよ。