6番

明日の20日はバッハの2番と6番を弾く。
6番は純粋にチェロの為に書かれたものではない。
現在の4本の弦の5度上にもう一本弦がある楽器の為に書かれている為に、
現在の4本の弦で演奏するのは困難を伴う。

よくチェロの友人達とこの話になる。
「名曲だけど、兎に角難しいと思う曲は何?」
という話題。

多くのチェリストが「兎に角難曲だ」という曲ベスト3と僕の「難曲だ」と思う曲ベスト3はほとんど一致する。
難曲なのに「ベスト3」というのは変な感じだけど、その曲は

ハイドン・チェロ協奏曲第2番ニ長調
シューベルトアルペジオーネソナタ
バッハ・無伴奏チェロ組曲第6番

の3曲。
確かにシューベルトの場合、アルペジオーネという楽器の為に書かれているし、バッハの6番はビオラ・ポンポーザの為に書かれているから、じゃあなんでチェロで弾くんだ?と言われるかも知れないけど、まあそれは置いておいて。
まあ兎に角良い曲である事には間違いなく、素晴らしい。

無伴奏の6番のサラバンド、あの信じられない美しさを損なわずに弾けたらとずっと思って既に数十年。
「5本弦のチェロで弾けば」とついつい思ってしまう事があるけど、その楽器を弾ける様になるまでにどれぐらいかかる事やら。

バッハの無伴奏チェロ組曲は、6曲すべて素晴らしいけど、6番はある種スペインというか、ラテンを感じさせる本当にハーモニーがとてつもなく美しく、大好きだ。
とはいえ難曲。

毎回チャレンジではあるけど、60歳ぐらいには
「裕康の6番、いいねぇ、たまらない味があるね」なんて言われる日を夢見て頑張るかと。