メッセージ

安倍首相について僕はどうこう言うつもりはない。
彼は選挙で選ばれ、そして首相にも選ばれた。
僕は4年間、安倍首相の仕事を一般市民として見て行くだけだ。


今日の国立劇場での追悼式典での安倍首相のスピーチを聞いた。
そのスピーチに心は全く動かされなかったし、記憶にも残らなかった。
本人が書いたのか、他の方が書いたのかはわからない。そんな事はどちらでも良く、さらには内容を問うている訳ではない。
そのメッセージが伝わる力が無かった事に我が国の首相として情けなかった。

これは首相に文句をたれている訳ではなく、僕の演奏に照らし合わせてみて猛烈な不安に襲われたんだよな。

まあ僕らは楽譜という今日の首相で言うなら「原稿」を見ながら、又は暗譜して演奏する。
それはどんな国籍を持っていても、どんな人種でも、男でも女でも同じ「原稿」を読む事になる。
そこで曲の良さはもはや歴史が「偉大である」と証明している以上、その曲の持つメッセージをいかに伝えるのが演奏家の重大な仕事となる。
そして曲の持つメッセージを正確にお客様にお伝えし、さらに、素敵な声で「原稿」を読んで感動をもたらす演奏家が一流とされている。

安倍首相のスピーチを聞きながら、こういう演奏だけはしたくないと思った。
彼だって、不真面目に読んでいるはずもなく、間違えない様に細心の注意を払って読んでいたと思う。
演奏家だって、だれでもそうだ。
だけど伝わらない物程意味のない物は無い事を思い知った。

だからと言って髪を振り乱し、号泣しながら読んだところで、そのパフォーマンスは一部の人には喜ばれるかもしれないけど、多くの人には見破られるだろうし、王道と言われる事は永遠にない。
そこなんだ。


淡々と読む事でも心に染み入る語り口調がある筈だし、僕も講演会等で感動した事は何度もある。
なんとかああいう演奏は出来ないものか。

311の事、いろんな想いを持ってはいるが、今や普通に生活している僕がここに書く勇気はない。
とにかく亡くなられた多くの方々のご冥福を祈るばかりだ。