Challenge BACH again

来月の9日にミネルバの森文庫の1階のカフェでバッハを弾く。
神保町の近くで30人程でいっぱいになる所。
修行には持ってこいのスペース。

2月9日(土)
4月20日(土)
6月22日(土)
と3回で6曲全てをというコンサート。
いずれも夜19時開演で、軽食と飲み物がつくらしい。


初回の来月2月9日は1番と5番。


40歳になる直前からもう一度全てバッハを勉強しようと始めて、全国行脚、レコーディングなどをして今に至っている訳だけど、どんどん弾けば弾く程良い具合にまとまって行くのかと思いきや、段々手垢にまみれて来て、ちょっと飽和状態の様な気がして、再びやり直す事に。


今までの楽譜は使わず、新たに購入してゼロからのスタートとなった。
あれだけ弾いて慣れ親しんだボウイングやフィンガリングを捨てる事は狂気の沙汰だった。もちろん、全てを捨てる訳ではないけれど、大変な作業。


特に5番は若い頃からいわゆる「通常の調弦」で演奏してきた。
「通常の調弦」と言うのは開放弦が上から「ラ・レ・ソ・ド」で調弦してという事なんだけど、これはコダーイ無伴奏以外、ほぼどんな曲でもこの調弦の為に曲は書かれ、その調弦で演奏する。
しかしバッハは、5番に関して『ラ』の弦を『ソ』に下げて調弦して弾く様にと書いた。そう、バッハ自身の指定なんだよなぁ。つまり上から
「ソ・レ・ソ・ド」。
「通常の調弦」では出ない音が沢山あリ、特に和音、コードを弾く時には音の省略を余儀なくされる。
それが昔から「通常の調弦」でずっと5番を弾いて来た僕にとっては音を省略したりしていた事が、もの凄いストレスだった。(いつかはバッハの指定通りに)と思っていたけど、なかなか勇気もなく、現在に至ってしまった。

この全てを見直すという事でチャンス到来、ということで5番の調弦もバッハのオリジナルの調弦に変える事にした。

けどねぇ。

単に『ラ』を『ソ』下げてに調弦をすれば良いかと言うと全く違う。
今まで押さえて聴こえて来る音が1音低いとなるとパニックになる。
何十年もここを押さえれば『ド』が聴こえるのが当然なのに『シ』の♭が聞こえて来るし、楽譜に書かれた音とも一致していない、これは地獄だ。


という訳で今は地獄。
とはいえ、全ての音が出す事ができるし、響きはハ短調なので楽器はストレス無く、無理せず鳴る。でも1番違うのは楽譜の捉え方まで違ってくる事。これはびっくりするぐらい曲の捉え方が違って来る。嬉しいやら情けないやら。
いやいや、今までこれをしなかった事を恥じて反省している。

自分のお弟子さんには絶対にこのバッハの指定の調弦で弾きなさい、と言っておいてこのざまだ。

その報いを受ける為に、さて、地獄にでも行きますか。