CDについて

自分はこれまでに3枚のCDを出させて頂いた。
最初はカザルスホールでのリサイタルをそのままCDにしたライブCD。
そして次はバッハの無伴奏チェロ組曲全曲。
そして今年ゆっくりな曲ばかりを集めた小品集を。

それぞれソロのCDは想いが詰まっているし、リリースした理由もはっきりしている。バッハではバイオリニストの矢部くんと作曲家のすぎやまこういち先生に言葉を書いて頂いた。小品集では宮本文昭さんに言葉を書いて頂いた。
言葉を書いて頂いた方々は僕の音楽家としての生活には無くてはならない大事で尊敬出来る方ばかりだ。

なんと言う偶然か必然か、宮本さん率いるMAP'Sで2枚のCDに参加させて頂き、すぎやまこういち先生の作品集でも2枚のCDに参加させて頂いた。そして最近リリースされた矢部くんのモーツァルト・バイオリン協奏曲4番、5番のCDの室内合奏団『秀』にも参加させてもらった。CDに言葉を頂いた方ばかりだ。
今年リリースされたCDは、自分のソロを含めて6枚のCDに参加させてもらった。


自分が参加するCDを「素晴らしい」と言うのは本当に気が引ける。
もちろん僕が主役でないのは誰が見ても一目瞭然だけど、それでもなかなか言えない。
僕は浪人時代、大学時代、カール・リヒター指揮 ミュンヘンバッハ管弦楽団や、ビンシャーマン指揮 ドイツバッハゾリスデン等々の室内オーケストラを散々聴いて育った。当然、どこかでこんなCDを出す様な室内オーケストラに就職したいと思っていた。
その夢が25年以上経って実現した。
それも自分では本当に言いにくいけど「素晴らしいCD」に参加する事で。

今日届いた矢部くんのモーツアルトのCDはあまりに素晴らしく、感動してしまった。矢部くんのバイオリンはもう僕がとやかく言う必要はない。
総勢19人の室内合奏団の伴奏するモーツアルトは数あるCDの中でも理想とも言える見事な質だと思った。この中に僕は本当にいたのか?と思ってしまう。

これは多くの方に聴いて頂きたい。

MAP'Sの3枚目となるCDのレコーディングが来年の3月にある。
1枚目、2枚目と進化してきたこの団体の3枚目は曲目もさることながら、さらなる進化が楽しみだ。

良き仲間、尊敬する仲間、愛する仲間とその中にちょこんと参加して、自分の持てる総力を捧げて完成したCDが、これからの若い人が聴いて「こんな団体に就職したいな」と25年以上前に僕が夢を見たような希望が持てるものになったらこんなに嬉しい事はない。