バイエルン放送響

10月1日に名古屋でバイエルン放送響のソロ・ビオラ、ヘルマン・メニングハウスさんとブラームスのピアノカルテットの1番を弾いた。


バイエルンと言うと日本のソーセージの名前をすぐに思い出してしまうこの寂しい現実はさておき、実に興味深い人物だった。
身長が2m以上あり、ビオラが小さく見える。
そしてよくしゃべる。
「最近、バイエルンにどんな指揮者が来た?」
と聞くと
ムーティマゼールヤンソンス・・・・・」
まるで最近の一流指揮者と呼ばれる人の名前を羅列しているようだった。
しかも一人一人その時のエピソードをしゃべるしゃべる。
リハーサル中、ボーイングに対しての異常とも言える拘りと、全く細かな事を意に介さないそのアンバランスさに、確かに最初は戸惑った。


この曲を弾いた回数はかなり多いと思うし、だいたいの事は把握しているつもりで、しかもどの場面に於いても他の楽器が何をやっているかは知ってるつもりだった。でも明らかに今まで聴いた事がない響きや、音が聴こえてくる場所が存在した。思わず「ヘルマン、ちょっと音を確認させてくれないか?」と聞いた部分まである。それは最近よくありがちな「新版」で音が違っている訳でもなく、彼が間違えて音を弾いている訳でもない。
だって、使ってる譜面は僕が持っていたビオラの楽譜なんだし。
弾き方や音の出し方によってこれほど聴こえてくる音が違って聴こえるのはびっくりした。
決して音が大きいとかではない。
響きが豊なのだ。
バリバリと弾いている訳でもなく、普通に楽に弾いている。
2m以上身長がある事が特に原因でもなさそうだ。

規格外の身長であるがために、ホテルではダブルのベッドでも斜めに寝ると言っていた。
高さが調節出来るピアノの椅子を1番高くして弾いているわけだけど、そもそもピアノの椅子がここまで高くなる事すらも知らなかったな。
バイオリンだったら10度の重音は人差し指と中指で押さえられるとも。
フィンランドやロシア、北極までホワイトタイガーの写真を撮りに行く事が趣味という。

と言っても話し好きで面白い一人の人間だ。
そして素晴らしい音楽家だ。

明日東京でもその公演がある。
2度目にはまたどんな新たな音を聴かせてくれるのか楽しみでならない。
そもそも明日の代々木上原ムジカーザに頭を下げる事なく扉を入って行けるのか、そこから注目したい。