16歳のガキに笑われる

今年は新年早々目まぐるしい日々が続いていて、ほとんどお正月という風景も見る事無く今日に至っております。

ドボルザークのコンチェルトのオケ合わせに行った事がもはや数ヶ月前の様な感じでございます。

一昨日から今日まで、MAP'Sのレコーディングをトッパンホールでしておりました。すべてモーツァルトで、彼が16歳で書いたディベルトメント3曲と晩年のアイネ・クライネ・ナハト・ムジーク。
このアイネ・クライネ・ナハト・ムジークですが、関西の音楽家には「アイクラ」という愛称で呼ばれているらしいのですが、何故か関東では「アイネク」。
略し方としては関西の「アイクラ」の方がスマート。関東の「アイネク」はなんでそこで止めるんだ?と思うけど、僕は「アイネク」で育ったからどうしてもこの呼び方しか出来ない。

まあそれは良いとして、全てモーツァルトは大変厳しゅうございました。
実際、「アイネク」の1楽章にしてもディベルトメントのK.136なんかは暗譜すらしていると言うのに、プレイバックを聴くと(俺は45年何やってきたんだ)と相当嫌になりました。つまり下手。もの凄く下手。頭に来るぐらい下手。

自分はこう弾いていると思っていた事がことごとくそのようになっていなかった。

こんな下手なモーツァルトを僕は平然と今まで弾いて来たのかと全てのお客様に謝罪したいぐらい。
何がダメかというと、通称『きざみ』と言われる8分音符や16分音符の同じ音が連続する所。
プレイバックをしてそれをコントラバス山本修ちゃんなどと常に修正しながらのレコーディングではありました。
レコーディングと言うのは、僕にとっては「思い知る」いい機会なんですよね。
それはソロをレコーディングする時も同じで、自分の誤解を思い知る為には本当にあり難い機会です。
それが今回はモーツァルトだけでしたから、それが目立つ目立つ。

このモーツアルトの4曲、いつでも弾くだけなら弾けます。朝、叩き起こされて、本番だと言われてもただ弾くだけなら弾ける自信がありましたが、その根拠のない自信は今回で崩壊させられました。

でもMAP'Sという団体。宮本文昭さんがリーダシップをとって音楽を作るのは当然の事ですが、コンサートマスターの矢部くんはもちろん、みんながいろんな意見を言い、そしてどんどん良くなって行く。僕より20年も若いメンバーもいますが、みんな立場は同等なんです。
だから僕にとっても刺激の場であるし、何とも楽しく嬉しい団体。

音楽祭もこのMAP'Sでやりますし、今後いろんな企画やプロジェクトがありますから、楽しみです。
今回のモーツァルトは3月28日発売、キングレコードから。
そして発売日の2日後からは第2弾のレコーディングが始ります。

明日は何も予定は無く、休みたいのですが、2月の半ばまで練習しなきゃ行けない曲が膨大で大変ピンチですから、1日練習という事になるのかな。
どうしてこんなスケジュールになってしまったんだろ。
でも乗り越えないと。