和歌山での公演

4日間ほど和歌山にいました。
よくよくその「和歌山」という漢字を見るといい県名だと思いました。
僕の出身の「愛知」というのもなんか自慢出来そうな漢字ですし、意外に当たり前過ぎて県の漢字をまじまじと見る事もなかったなぁと思っている今日この頃です。

和歌山滞在の最後の日に訪れた「白馬中学」という所は山間に流れる川のほとりにひっそりと建つ印象深い学校でした。Theニッポン!という風情で、空気を吸うだけで癒される感じでした。そしてそういう所に行くといかに今住んでいる所が騒々しいのかを知る事になります。無音。この状態に身を置く事がどんなに僕たち音楽家に必要な事か。空気の音ってあるんですよね。

我々神奈川フィルは毎年文化庁の事業でこう言った所を20カ所以上訪問してコンサートをしております。去年までは九州・沖縄がほとんどでしたが、今年からは関西が中心。そして今回のクールが和歌山でした。
他のオーケストラの事はちょっとわかりませんが、神奈川フィルは全ての学校の校歌を大橋さんという神奈川フィルのホルン吹きがオーケストラにアレンジしてCDに録音しプレゼントしております。
彼のアレンジはハリウッドの映画音楽のような壮大なアレンジは本当に素晴らしい。感心もするし感動もする。

今回の白馬中学でも最後に30人そこそこの全校の生徒さん達とオーケストラでそのアレンジされた校歌を共演した訳ですが、何人もの生徒さんが歌いながら泣いているんです。理由はもちろんわかりませんが、何かを感じてくれたんだろうと推察しています。
僕はそれを見ながらもらい泣きをしてしまいました。
たまらない瞬間なんですよね。
あの「感じる」という心をずっと持っていて欲しいと強く思いました。
大人になればなるほど薄れていく「感じる」心。
夕日を見ただけで涙腺が緩む様なそんな人でずっといて欲しいです。
そんな文化庁での仕事を毎年している訳ですが、熊本でも鹿児島でも西表島でも、もらい泣きをした思い出は沢山あり、どれも忘れる事が出来ません。

実はこれは良い仕事だと思いますし、また1番重要な仕事とも思っています。
次に僕が参加するクールは滋賀県を中心とした2月の公演です。

また何かを子供達から教えられると思っています。