ピアノカルテットでのツアー

ピアノの横山幸雄さんのデビュー20周年のコンサートで広島、高知、京都を回った。幸雄さんは1部はピアノのソロでリスト、ショパン、2部では彼自身の作曲したバイオリンソナタを矢部くんと。そして3部がブラームスのピアノカルテット第1番という通常のプログラムの1.5倍の内容のコンサートのツアーだった。

もちろん僕はブラームスのピアノカルテットだけでしたが、あのプログラムを疲れも見せず毎日飄々としている幸雄くんは規格外れ。まあショパンピアノ曲全曲を1日で全て弾くというコンサートをする彼だから、大した事ないのかも知れない。

彼のバイオリンソナタを初めて聴いたが、これが大作。
レストランを3軒経営し、二つの大学で教授として後進の指導にあたり、もの凄い量のコンサートをこなす彼。そしていつあんな大作を作曲する時間があるんだろ。

ビオラの鈴木学くんと意見が一致したのは、幸雄くんは3人分の人生を歩いてるという事、そして暗譜であったりの頭に保存できる量が僕らと単位が違うという事。
僕らがバイトなら彼はギガ。

まあ今更彼に対して驚嘆する必要も無いけれど、すごい。

今回のツアー、各々のホールの響き等は全く違ったけれど、結局力んだら負けという事だけははっきりした。
室内楽ホールから大ホールまで、「これはしてはいけない」という事のいくつかは確認する事が出来たと思う。
同じ曲を何回も弾くと(明日はどうしよう)(今日はこうしようと)といろんな反省の上に立って演奏する事になるけど、最後の京都でもバックステージに戻って来た瞬間から4人で「あそこはこうすべきだった」「あそこはクリアしたけどその前に問題を発見した」等々、尽きる事はなかったな。結局これが10回でも100回でも同じだろうと思う。
問題をちゃんと言い合える仲間がいてくれる事が僕には本当に幸せな事だ。
そして正直に言ってくれる親友の存在のおかげで僕はいままだ弾いてられるようなものだ。

すでに来年の曲目もほぼ決まりつつあるし、楽しみな予定の1つ。

東京に帰って来たらやたらに寒かった。
明日からは和歌山。