松本 2

3日間びっしりとリハーサルがあり、今日は一日オフだった。
バルトークの「青ひげ・・」も「中国の不思議な・・・」も僕は実は初めて。
さらにはあまり得意だとか不得意、好き嫌いという範疇にない作曲家であるバルトークという事もあるし、
特に「中国の不思議な・・」は弾くだけでも相当大変ということもあり、すっかり3日間で疲弊したみたいだ。


小澤総監督は12月のニューヨークでの体調からは別人のように復活された。
「青ひげ・・」のあのえも言われぬ音楽を丁寧に丁寧に作って行く。
そしてどんどんオーケストラが変貌していき、バルトーク、小澤総監督、そしてサイトウキネンオーケストラの
3つの巨大な石が一つの接点に向かって動き出した。


親友達はヤナーチェックの響きとの類似性を良く口にしているけれど、僕もその意見にはすごく同意する。
そして彼らは口を揃えて「でも、バルトークなんだ」と言う。
僕は正直、バルトークは「オーケストラの為の協奏曲」「弦とチェレスタのための音楽」「弦楽のためのディヴェルティメント」「バイオリン協奏曲」ぐらいしか演奏したことがなく、なかなか体に染み込んで来ない。
だけど何故か、突如として懐かしい響き、メロディーの断片が聴こえて来る。
それは子供のころに聴いたとか、ちょっとしたノスタルジックなものではなく、日本人として根源的な何かが聴こえてくる瞬間がある。


ハンガリーフィンランドと日本はもともと同じ起源であるというような話を読んだことがあるけど、
そんな事で懐かしさを感じるなんてことがあるんだろうか?
明日からはまたびっしりとリハーサルが続く。
今日は一日脳みその一部がバルトークという熱を持って何か頭も重かったけど、もう少し自分の中で整理ができると、
このバルトークの頭痛は晴れるに違いない。