ブラームスからラベルへ

ブラームスの弦楽5重奏曲第1番。
今日、ほぼ20年ぶりぐらいに演奏したけど、昔よりこの曲の持つ人生の望郷の念を深く知る事になったなぁ。その人生を振り返る為にはやはりブラームスかなぁ。
ブラームスはどんな楽曲でもそれが顕著ですが、今日演奏されたピアノカルテットの第2番も、とてつもなく胸が締め付けられるたまらない曲です。3月11日以前には我々はもう戻れないけど、この曲の中では一瞬でも戻る事が出来る。
ブラームスを弾いたり聴いたりするたびに、僕は一ヶ月前から30年前までバーチャルな時空を超えた旅にでる事が出来る。
ありがたやありがたや。


そんなコンサートのあと、別のリハーサルに向う途中、信号無視で警察に捕まった。
交差点で止まっていて、隣の車が続々動き出したので条件反射的に僕も信号を見ず発車して左折した。そこに何人か警察がいる事は止まっている時から知っていたし、(何かあったんか?)と思ってはいたけど、その交差点の左折の矢印信号はまだ青になっておらず、青になっていたのは直進のみだったみたいですな。警察に「我々の前でなんで信号無視なんてしたんですか?」と聞かれたけど、そんなの知りませんよ。信号をちゃんと見てなかった僕が悪いのは確かですが。
「職業は?」と聞かれて僕は「ラベル弾きです」と言ってみた。
警察は「ん?ん?らべるひき?らべるひきってどんな?」と。
「音楽家のようなものです」と答えると「なるほど、音楽家ですね」と警察。
いやいやいや「なるほど、」っておかしいでしょ。
まあ早く9000円を振り込む事で忘れたい。


保釈後、上野でラベルのカルテットのリハーサル。
しかしながら、このラベルのカルテットも相当久しぶりではあるのだけれど、なんていい曲なんだ。これは明日の月曜日、千葉で演奏するのだけど、それにしてもこういう曲を書いてくれた作曲家に心より敬意を表したいし感謝したい。
ありがたやありがたや。
明日はラベルとともにバッハの無伴奏チェロ組曲も弾く。


放射能の怖さを知り、本番より怖いものがあると衝撃をうけましたが、今日舞台からバックステージに戻る時にはやはり放射能よりも本番の方が怖いのではないかと思いましたよ。

さて切り替えてラベルだ。
あまり僕はこのんでフランス物を演奏して来なかったけど、ラベル弾きとして恥ずかしくない演奏をしたいものです。