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まず、亡くなられた多くの方のご冥福をお祈り申し上げます。
そして安否のわからない方々が元気でいる事、避難されている方々が一刻も早く普通の生活に戻られる事を祈るのみです。




昨日3月12日、神奈川フィルは定期演奏会だった。
僕は今になってもあの演奏会を行なうべきだったのかどうかに悩んでいる。
東京都で行なわれる筈のコンサートはほぼすべてキャンセルになったという情報は僕自身ネット、Twitter等で得ていた。

我がオーケストラの本拠地である「みなとみらいホール」がある「みなとみらい地区」は埋め立て地であり、海も真ん前にある。
その時はまだ大津波警報が解除もされていなかった。
そんな中でのコンサートを行なうか否かはどちらにしても批判の対象になると思っていた。
神奈川フィルは演奏する事を選んだ。それを悪いと思っている訳では全くない。そのコンサートをやるべきだという理由や大義の統一した意思がオーケストラの中でとれていなかった事が僕がずっと今でもまだ悔やんでいる理由なのだ。
誰がその決定を決めたのか、決めたのだったらその理由は?
残念ながら、なんとなく大丈夫そうだからという事でコンサートをやるという方向になっていった事実が僕をゲネプロの時からイライラさせていた。
ゲストやエキストラに来て下さった方々には、なんの情報も連絡する事もなく、コンサートをする理由も開示されぬまま本番になった事を本当に申し訳なく、心から謝りたい。

コンサートにはこの状況の中、沢山の方々に来て頂いた。
これは本当にあり難い事であり、感謝しかない。

団員主導で始った義援金。それをお客さんにも協力して頂く事は出来ないかと思った。ここに集まった演奏家もお客様も全員、ある意味怪我もせず、音楽を弾いたり、聴いたり出来た人ばかりだったんだと思う。だからこそホールにいた方々と我々団員で何か出来ないだろうかと考えていた。

演奏が始る前にホールにいる全ての人と黙祷をした。
その黙祷の前に常任指揮者である聖響さんが一言スピーチをすると言う話だったので、義援金の事を少し触れて欲しいと頼んだ。聖響さんは当然だと引き受けてくれた。
終演後のほとんどのプレイヤーによる義援金の募金をお願いする姿を見ながら涙が止まらなかった。
困っているからこれから募金を始めようというオーケストラが、困っている方々に「何か」行動をする事が出来なければ、助けてもらう資格なんてないと思った。


黙祷の後、ずっと涙が溢れて2楽章の途中まで止まらなかったけど、その後は何かに突き動かされる様に弾いた。
その演奏が良かったのかどうかはもはや問題ではなく、一人の人間として、大和魂を持った日本人として、この国家の非常事態にどういう事が出来るかを考え、それを兎に角スピーディに行動出来る人間でありたい。

いろんな事を考えたけど、僕は今すぐ出来る支援は何もないと思った。
でも、日本の国の1人1人が多少でも元気になることが結局は何らかの力になるんじゃないかと思う。本当に小さな事だし、チェロを弾く事、音楽をする事で直接支援できる事ではないとは思うけど、僕は僕なりに出来る事をやって行きたい。

義援金に協力頂いた多くのお客様、多くのプレイヤー、心から感謝したい。
どれぐらいの金額で何処を経由して送られたかはオーケストラのホームページやプログラム等で必ず報告します。


映像を見て、悲しさしかない。なにも手がつかない。
自衛隊を始め、消防や警察や行政が不眠不休の活動をしている。
日本全体でそれを支えて行かなくてはいけないと思う。
もはや与党も野党もなく、超法規的措置でもなんでもしてこの国を復興していかなくてはと思っている。