タイム・マシーン

昨日の桐朋の富山・オーケストラアカデミーのコンサートは完全燃焼のいいコンサートとなりました。みっちりと厳格にリハーサルを重ねた小泉さんでしたが、本番で何かが自由になる瞬間を与えてくれていましたし、その自由にオーケストラアカデミーの生徒さん達も俊敏に反応してアレンジしていまして、本当に素晴らしい演奏をしていました。シンフォニーの1番の2楽章のバイオリンのソロ、素晴らしかったです。いい物を聴かせて頂きましたと思いましたし、僕としても充実の夜でした。
バリューセットでの修学旅行も終わり、早くも次回を待ちわびる気持ちでいっぱいです。


今日は東京に戻り明日の白寿ホールのコンサートのリハーサルへ。
今回の東京クライスアンサンブルで僕が頂いた演目はベートーベンの7重奏曲op.20。
若きベートーベンの血潮が迸るたまらない名曲です。なかなか弾くチャンスが少ないですが、この曲は好きだなぁ。過去、3・4回ぐらいしか演奏した事がないです。

ところが、この7重奏曲を書いた時のベートーベンは第九はもちろんの事、まだバイオリン協奏曲や運命、田園を知らないベートーベンなんですよね。
そんなベートーベンに出会えるのは非常に実は興味深い事。タイム・マシーンに乗ってベートーベンに言ってみたい。
「うん、あなたのこの7重奏は本当に素晴らしく、大好きでたまらないけど、これからあなたはもっともっと凄いシンフォニー、カルテット、ソナタと名曲を書きますよ。僕は知っていますけどまだあなたはその曲を知らないベートーベンなんですよね」と、偉そうにね。


25年前の僕に
「お前は25年後にいいホールで、素晴らしいメンバーとこのベートーベンの7重奏を演奏する機会がやってくるから、今のうちにちゃんとみっちりと勉強しとけよ」と言ってあげたいですよ。学生時代、初めてこの曲を勉強の為にやった時、弾ける弾けないに汲々としていただけに、あんなに時間があったのにもったいなかったですから。