松本からの手紙 5

小澤塾の若い演奏家のオーケストラを下野さんが振っている。曲はベートーベンの運命。今日は弦楽器だけのリハーサル。その下野さんのリハーサルを手伝えという事務局からミッションを頂き、行ってまいりました。バイオリンは矢部先生、ビオラは川本先生、コントラバスは河原先生。そしてチェロ。


いやいや、皆さん素晴らしい。僕が若い頃、こんなにいろんな事出来たかなぁと感心することしきり。
僕が何かアドバイスを言う事が出来るのは、ただただ皆さんより10年か15年多くオーケストラをやっていたからだけだと思いますね。皆さんすでにプロフェッショナルです。
実に有意義な4時間を過ごす事が出来て感謝です。

それにしてもサロメが凄い、ドンキホーテが凄すぎると最近はリヒャルト・シュトラウスを讃美し続けて来ましたが、おいちょっと待てよ、もっと凄い人を忘れるべからず。ベートーベンの素晴らしさに驚愕し、落涙してしまいました。あの骨格と思想に改めて頭を下げるしかありませんでした。2ndバイオリンのパート、是非弾いてみたい。
その先生方とその後ご飯を食べながらベートーベンについて大いに盛り上がりましたが、
リヒャルト・シュトラウスの音のすべてに全く無駄がないのは当然の事だけど、ベートーベンの音には意味の無い音がない」
という言葉にみんなが強く同意して終わりました。自分の台詞としてブログに書こうかとも思いましたが、嘘はいけません。とくにブログでの嘘は死刑に値します。
たまには良い事言うじゃないか矢部先生。

その後、サロメのドレス・リハーサル。


神奈川フィルに僕が入った頃に常務理事としていらっしゃって、退任された後もオーケストラはもちろんの事、個人的にも応援して下さった横須賀さんが亡くなられたという話が飛び込んで来た。
心から哀悼の意を表したい。
「僕はオーケストラのチューニングの時が好きなんですよ。わくわくしますからね」
とおっしゃっていた事を思い出す。
今日ピットでのチューニングの時それを思い出して本当に悲しかった。
横須賀さん、本当に今までありがとうございました。