チェロの恩返し

仲の良い友人のチェリストがオーケストラの仕事をキャンセルして、その代役としてそのオーケストラに行って来ました。僕がヘトヘトなのはまだしも、その友人チェリストの回復がもう少しかかるみたいだ。ここは慌てずゆっくり療養して完璧に治して欲しいと心から願う。


僕が首を痛めて全くチェロが弾けない時、母親が倒れた時、いずれも彼には助けてもらったんだよなぁ。お客さんに対しては何の言い訳も出来ないからただ謝罪するしかなかったけど、その時彼は「そんな時はお互い様ですから、僕がなんとかしますから」と言ってくれた事をよく覚えているし、今でも感謝してる。


彼が今苦しんでいる。なかなか良くならないと焦るのよね。僕も首を痛めたときは廃業も視野に入ってたぐらい追いつめられたな。結局は良くなったからこんな事書けるけど、その時はもはやこれまでとずっと考えていた。本当に苦しかった。


回復が遅れているために、8月1日の彼の栃木でのリサイタルもキャンセルとなった。偶然なんだけど、去年の丁度今頃その同じホールで僕は室内楽で演奏したのだけど、その主催者さんが「山本裕康さんに代わりに弾いてもらえないものか」と彼のマネージメントを通じて連絡があったらしい。
彼の演奏を待っていたお客様に対しては、僕が演奏する事がその代わりになるとは到底思えないけど、今僕が出来る最大限のパフォーマンスをしようと思っている。

ようやく、あの時の恩を返せる時が来たみたいだ。
でも、同業者として、苦しい時はお互い様。
恩を「返す」「返さない」と言う事より、困っているときはお互い助け合って行きたいと思っている。


全身全霊で弾いて、彼が近い将来この栃木のステージに戻って弾く時の為に座布団を暖めておきたい。