苦境に立つ

北海道から帰る日の夜、某オーケストラの事務局のプロデューサーから電話。

「明後日から2日間練習で次の日が本番なんですが、空いてませんよね?実はうちの首席が体調不良でキャンセルになってしまったのですが、スケジュールはいかがでしょうか?」と。

「本番の日がヴィルトーゾ・シンフォニー・オーケストラのリハーサルが18時からなので、申し訳ないですが、厳しいです。ごめんなさい」と僕。

「そうですかぁ、ちょっとそのリハーサルに間に合うかどうか調べますのですぐにかけ直します」と言って電話を切った。

すぐに電話が。
「ヒロヤスさん、うちのオーケストラのメンバーでこの公演に出番の人がヴィルトーゾ・シンフォニー・オーケストラにも参加されていますから、大丈夫です!」

2年前に首を痛めて以来、あまりオーケストラのリハーサルや本番の後に仕事を入れる事を極力避けてきました。だけど、僕がキャンセルした時にその彼に助けてもらったし、こういう事はお互い様だと引き受ける事に。

「わかりました。それなら安心です。曲は何をやるんですか?」

「はい、バーバーの序曲『悪口学校』、モートン・グールド『アメリカン・シンフォニエッタ』、それと」
という事務局のプロデューサーを制して僕は言う。
「ちょっと待ってください。知ってる曲が無いので、断って良いですか?」
慌てた事務局のプロデューサーが
「ちょちょちょちょちょ、大丈夫です、楽譜はすぐに届けますし、音源もお渡ししますから、そこをなんとか、絶対大丈夫ですから」


そんな訳で月曜日は仕事後に必死に譜読みでした。そしてやった事のある曲として余裕をかましてた「パリのアメリカ人」が意外にも難しい事を思い出し、練習に時間がかかったよ。
昨日今日とリハーサルを2つ掛け持ち、北海道での激務の疲労感たっぷりの身体は、この東京の暑さにも水分を失い枯れ始め、31日の名古屋でのヴィルトーゾの演奏会までは一生懸命水を飲んで頑張るしかないのであります。8月2日から松本での講習会と指導者の演奏会で弾く曲は一体いつ練習するんだ?
やっぱり夜中しかないぞ。


困った時はお互い様です。
それより早く良くなる事を心から祈ります。
頑張れよノブオ。