モーツアルト K.515

7月10日に帯広で恒例のコンサートがある。今日、明日がリハーサル。
今年はモーツアルトの弦楽クインテットK.515とブラームスの弦楽クインテットの2番。
モーツアルトはかなり久しぶりですが、このメヌエットの素晴らしさは筆舌に尽くし難い。
なんだろうな、あれは。


あんなシンプルな上に喜びと悲しみとそして希望が同居する音楽を書くとは、普通じゃない。
感動するというより、考え込んでしまう程の素晴らしさを、今日改めて味わった。


ブラームスの2番のクインテットは相変わらずたまらない瞬間の宝庫。
偉そうに言わせて頂く。
「指揮者諸君、この曲を知らずしてブラームスを振る事なかれ」
かなり濃密なブラームスのエッセンスが散りばめられた名曲だと思う。一瞬一瞬のハーモニーの緊張はブラームスが自身の人生を振り返り、走馬灯の様に走り出すあまりに美し過ぎる想い出に胸を痛める究極のノスタルジーを感じる。


僕が東部市民センターで、高校時代や若かりし頃を思い出しながら何かこみ上げるものとはそりゃレベルが違うかもしれないけど、あの昔を思い出す時の胸が少し締め付けられる「何か」は似ている。肋間神経痛ではない。
若い頃には持ち合わせていなかった気持ちの1つです。

その複雑な気持ちを、ブラームスは一曲で、モーツアルトは8小節で描く。
それを一曲で描くブラームスも半端じゃない凄さがあるけど、8小節で描くモーツアルトは、前菜の一品だけで「笑い」「涙」「希望」、そして「諦め」までも味あわせてくれる稀代の天才。