白鳥

ワールドカップが始まり、全く盛り上がっていなかった僕の気持ちもようやく火がついた。
開幕戦の南アフリカ対メキシコを見ましたが、やはり何か独特の時間です。
8年前の日韓の途方も無い興奮を思い出します。4年前にわざとその時期を選んで入院したドイツ大会も思い出します。

サン=サーンスの「動物の謝肉祭」。
これは明日紀尾井ホールで演奏致しますが、一級品のウィットとはこういう曲の事を言う。
あのユーモア、そしてエスプリの中に隠されたマジックの様なハーモニーには、サン=サーンスの恐ろしいまでの天才性を感じます。
チェリストだったら誰でも演奏する「白鳥」。
このメロディーよりも、次から次へと変わるめくるめくハーモニーの絨毯にくるまれながらの天空遊びはチェリストしか味わえないというちょっとした優越感。とはいうものの、聴く人は全ての方々がその天空遊びを共有できる訳で、それを邪魔しない様に弾かなきゃいけないという公的圧力に明日は勝てるかどうかです。

白鳥はハーモニーの勝利であると自信を持って言う事ができます。
刻々と変化するハーモニーの隙間を美しく飛ぶ、そんな演奏を自分でも期待したい。

真冬に白鳥が飛来する北海道の「十勝川」にわざわざ白鳥を見に行った事がありますが、近づくと本当にガァガァ五月蝿い鳥なんですよね。

白鳥はタバコをスワンと言った人を何人も知っていますが、100年経っても言う人はいるでしょうね。