旅で感じた事

多くの友人や知り合いの方々との再会や新たな方々との出会い、そしてコンサートに足を運んで下さったお客様に僕のこの12日間に及ぶベートーベンの旅を支えてもらいました。有り難うございました。今回出会った全ての方に感謝いたします。


昨日は朝早く這いずりながら起きて、小倉から新幹線で帰って来ましたが、何故か寝る事もなくその車中では本を読んだり、この旅の回想をしたりしておりました。

ベートーベンのみならず、楽譜を正確に演奏するという事は非常な困難を伴います。それを具現化出来るテクニックはもちろん必要でしょうし、忍耐や集中、そして何より多くの時間をかけての勉強は当然の事で、しかもそれはどれだけ時間をかけたとしても出来る事でもなく、その時点でいかにそれに近づけるかと言う事でしかないという覚悟を持つ事への我慢が必要です。とはいえ、そういう姿勢でひたすら真摯に取り組めば、ステージの上で少しだけ自由になれるのかもしれないという事を感じました。
多くの規制を背負った中からしか、自由は生まれないんだという事を今回は強く感じました。しかもその自由はステージの上でしか存在せず、というのもこれもステージの上でしかない極限の緊張という外的、内的両面からの大きな規制もあっての事かと。
かといって、今回のツアーで自由になれた訳でもなく、まだまだその次元には行けませんが、次の空間を目指したいと思います。


新幹線で帰京して品川で降り、NHKに直行。15時よりNHKのテレビ番組「どれみふぁワンダーランド」の収録を3本。
終わったのは深夜。
途中の待ち時間に、作曲・ピアノの宮川あきらさんと長々とあるプロジェクトについての話で盛り上がり、収録を終えるまで元気でした。
不思議な事に彼と話すと、本当に心身共に元気になれるんですよね。
でも終わったときは廃人同然だったな。タクシーに乗って「あの、ほら、僕の家って言うと、あのぉ〜ほら、駅がある、あの、小田急線じゃない方の、、、」と全く働きませんでしたね、頭が。昨日は長い1日でした。

そして今日からは29日のカザルスホールでのコンサートのシェーンベルグの「浄夜」のリハーサルが桐朋学園でありました。
桐朋学園、そして今回の仲間達、そしてシェーンベルグ浄夜、思い出す事があまりに多過ぎて感傷的になりました。