明日は12人のチェロ

この演奏会、1995年からという事なので、15年目に入る。
もの凄く多くの曲を弾いて来たんだろうなぁ。2回以上演奏した曲ももちろんあるけれど、今回のプログラムは今まで絶対に取り上げなかった曲というのがコンセプト。
有名な曲もあるし、ほとんど知られていない曲もある。しかしどれも本番では緊張を強いられるものばかり。
もっとも緊張しない曲なんて世の中ありませんけどね。

このアンサンブル、練習の楽しさもさることながら、休憩時間が至福の時である。
昨日も「この団体は休憩する為にあるんだよな」と誰かが言っていましたが、その通り。
この休憩時間の様々な事のに対する情報交換は生きていく為には相当不可欠なんです。
「じゃあ5分休憩してから次の曲ね」
となると20分は休憩になる。
そしてリハーサルから本番まで必ず向山さんが和菓子洋菓子を買って来てくれる。
15年の間の向山さんが使ったお菓子代金で、そこそこの弓が買えるのではないでしょうか。
リハーサルもかなりの本気度なので疲労しますが、休憩時間の笑い疲れがそれに輪をかけます。

とある外国のアーティストの話になり、
「彼は室内楽のリハーサルをする時、8時間休憩をしないらしいよ」
と誰かが言うと即座に、
「じゃあこのアンサンブルには入れないな」

しかもこのアンサンブル、喫煙率が半数を超えている。15年もJTホールでやっているから禁煙はしてはいけないんじゃないかというある意味義理堅いアンサンブルでもある。
今はまだ喫煙党が政権与党。でももっとみんな歳をとっていくと禁煙党が政権交代を果たすんだろうな。

このアンサンブルのコンサートは曲目もタフだし緊張度も半端ではないのですが、こんな仲間と15年も一緒に演奏してこれた事を幸せに思います。
なにが幸せかって、みんな常に音楽に向き合ってそれに対して真剣であるという当たり前の事をここでは確認できるからです。
そういう姿勢の人達に囲まれるという事、これが今の僕の拠り所になっているのです。