国家と人生

シューマンの曲を練習していると、あれだけ懇意に思っていたドイツという国が遥か向こうの霞がかかった国に思えて来る。
「民謡風5つの小品」という曲があるけど、この民謡が遠いんですよ。
(やっぱり僕は日本人でしかないな)
日本人として誇りを持っているのにこんな風に屈折してしまう自分が顔を見せるから面白くない。
よく島国日本と言われて、島国根性という言葉があるけど、なんか負のイメージがつきまとうなぁ。
島国という事で沖縄を日本の縮図として歴史や文化を遡れば何か僕のルーツは見えてくると言う話もあります。1853年に黒船が来て、坂本龍馬までもがそれを見て腰を抜かしたみたいですが、琉球王国にもその後立ち寄っているみたいなんです。そしてペリーは琉米和親条約を結んだのをご存知でしょうか?

ペリーが「砂糖はどれぐらい採れるのか?」と質問すると「さあ、たいして採れません」
さらに「日本との関係は?従属しているのか?」と質問すると「さあ、どうなっているかわかりません」とできるだけ頭が悪い様にふるまったらしいのです。
なにか最近の日本の言葉、それはできるだけ自分の事をはっきり言わない言葉遣い「〜〜的な」とか「私ってお寿司が好きじゃないですかぁ〜」みたいにやたらちょっとお馬鹿を見せる言葉が主流となっている所をみると、どうも先ほどの琉球王国は縮図の様な気がして。
そんな国の中でのチェリストとしての人生。
シューマンはそりゃ遠い。バッハはもっと遠いかもしれぬ。
でも凄い好きなんだけど、好きな理由がわからない。結局異文化にこれだけ傾倒していても、根源が違うというのは本当に痛いな。
ある人が、その根源が違うからインターナショナルな演奏が生まれるんだと言っていたけど、それを最初に目指すとろくな事はない様な気がします。
異文化である根源をとことん目指してほんの少しそこから見えて来る物がインターナショナルなんだろうな。
人生そうそう時間がある訳じゃないけど、やっぱり見えない頂上を目指すしかないって事か。


シューマンが誕生して200年。ショパンも誕生して200年。シューマンどころか、ショパンの故郷に帰れずずっと故郷を想い続けた人生なんて、ずっと島国を守って来た日本人にはショパンが1番人気という統計もあるぐらいの人気作曲家です。故郷に帰れなかった日本人は島流しになった人ぐらいしかいないはずなのにな。
夜中って本当に落ち込むんですよね。だから早く寝たいんだけど。練習終わってお風呂に入るとこの時間だからな。