12人のチェロ、終了。

終わりました終わりました。昨年から今日の楽譜の束を見ながらどんよりとしたスコットランドの冬の空の様な気持ちで過ごして来ましたが、ようやく今日で肩にのしかかっていた鉛の様な重さがなくなりました。
今日のコンサートは弁護士生活50周年という有名な国際弁護士の松尾先生という方が、今までの人生でお世話になった方をご招待して感謝を捧げるという趣旨のコンサートでした。その松尾先生は三枝さんが主宰されている六本木合唱団のメンバーでもあるみたいでして、三枝さんや大友直人さんとは昔からのおつきあいだと伺いました。

僕にとっては本当に厳しいコンサートで、気力も体力も消耗しましたが、終わってみると充実したコンサートだった気がします。
でも終演直後、チェロの三宅さんや服部さんに「ひろやす、急に老けたな」と言われましたから、かなり疲弊したんだと思います。
それにずっとこの曲を練習してきましたから、なんかちょっと上手くなったような錯覚に陥っていて、誤解だとわかっていながらなんだか嬉しい気分でもあります。ここまで高い音をずっと練習する事もなかなかありませんし、コンサートではフレーズごとに祈りながら音程をとるという事もそんなにあるものではありませんから。
個人的にはいい修練になりました。12人のチェロのメンバーも素敵な人達ばかりで楽しかったですね。

でも弁護士生活50年の先生が「今日のこのコンサートを両親に聴かせたかった」と言って涙を流された時には僕もこみ上げるものがありました。
両親を東京大空襲で亡くしたという事ですから、もう60年以上前です。それでも両親への想いは人間枯れる事がないんだなと。

今回の仕事はチェロを弾くという事も相当修行になりましたし、人間として感謝をする事の美しさを学びましたし、僕にはいい時間でした。
松尾先生、三枝さん、そして大友直人さんを始めとする12人のチェロ(僕を抜いて11人ですね)の方々に感謝したいと思います。
有り難うございました。

明日は名古屋です。
ブラームスのドッペルコンチェルトのオケ合わせに行きます。
左手が腫れていますから、きっと太くチェロらしい、い〜い音が出る気がします。今年はなんでもポジティブに行きますよ。