ヨーロッパ・サバイバル日記 オーストリア編

朝4時半にホテルを出て空港へ。

1日半しか滞在はしていませんが、後ろ髪をひかれる想いでミュンヘン経由でフラーゲンフルトへ。

オリンピック航空が破綻しなければ直接ウィーンに行く筈だったのですが、こればっかりはしょうがありません。頭にくるのはそのオリンピック航空の飛行機が平気な顔をして飛んでいた事です。

しかしスーパーツアコンの平林さんによると、突然今日から飛びませんと言われるとその時点でアウトなので、飛ぶか飛ばないかのリスクを背負うより回避する事がやはりベストであるとの事でした。


今回のツアーでは東京アンサンブルのメンバー、スタッフやツアコンの平林さんの他に、服部譲二くんの母上、ウィーンでのマネージャーさん、そしてウィーンに住んで40年という音楽ジャーナリストの山崎さんが同行していました。

我々はなんだかんだその荒波に飲まれてもこうやって想い出話をできますが、服部くんの母上や山崎さんにも同じ苦労を共にさせてしまって申し訳なく思います。

でもさすが海外在住数十年の経験や国の事情を知っていらっしゃる豊富な知識からか、泡を吹いていた僕に比べて落ち着いていらっしゃいましたね。


ミュンヘンの空港は本当に綺麗で、しかもいろんなサービスが行き届いていてびっくりしました。

大昔ミュンヘンを訪れた時と空港自体建て直したのかなぁ。本当に綺麗でしたし、飲み物は無料でした。

ここの空港だったら宿泊する事も「喜んで」という気分にさせてくれるぐらい綺麗でした。

そのミュンヘンからフラーゲンフルトまではパタパタパタパタとプロペラ機でした。それも小さな小さな可愛らしいプロペラ機で、イタリアのエア・ドロミティという航空会社でした。


フラーゲンフルトの空港に着いてタラップを降りると歩いてビルに向かうというなんとも原始的な空港で、荷物を受け取る所にサッカーゲームが置いてあり、東京アンサンブルのメンバーの何人かは早速興じていました。

僕は大人なのでそんな事はしませんでしたが、やりたかったな。

フラーゲンフルトの街はとても落ち着いた良い街でした。

着いてすぐに食事を食べに行きましたが、僕はシュニッツェルを。そのレストランも当たりでした。

何気なく入った今回のレストランはとんでもないハズレと言うところが無かった事は幸せな事でした。


食事後、街を散策。クリスマスマーケットが市庁舎の前で大々的に開かれていて、そんな季節かと思いましたが、気付いてみれば相当寒かったです。

この街の為にユニクロヒートテックを持って行った訳ですが、これは素晴らしいです。薄いのに温かい。
日本のテクノロジーは凄いです。


夕方からゲネプロがあり、コンサートの会場は教会でした。

寒かった。お客さんが入れば温かくなるかと期待しましたが、いやいや、寒かった。

お客さんの席は足下やお尻の部分が暖房になっていて、意外にぽかぽかと温かかったらしい。

コンサートが終わっても足だけは冷えたままでしたね。

でもそこにいらっしゃったお客さんはこよなく音楽を愛していますという雰囲気がもの凄く伝わって来て、気温は寒いけど温かい素敵なコンサートだったなぁ。

なんて人ごとのようですが、やっぱりコンサートは演奏家の努力や良いパフォーマンスは必須だけど、そのコンサート自体の成功は演奏家、スタッフ、そしてお客さんの全てで決まる気がします。

それはお客さんがいかに音楽が好きなのか、そしてその時間を楽しんでいるのかという事に尽きると思います。

このクラーゲンフルトからバスで20分の所にペルチャッハという街があり、ブラームスがシンフォニーの2番やバイオリン協奏曲を書いた場所で有名なのですが、そんな街が近くにあるというだけでなにか興奮しますね。

それがウィーンともなるとハイドンからベートーベンが散歩した小径、シューベルトの住んだ家や亡くなった部屋、それどころかリヒャルト・シュトラウスマーラーが指揮をしたオーケストラがウィーンフィルとしてあるわけですから。


コンサートが終わってホテル近くのイタリアンの店でこのツアーの打ち上げをしました。
まあイタリアンは圧倒的に日本が美味しいですが、ひとしきり騒いでホテルに帰りました。


次の日の朝、ふっと丸々二日間楽器を弾かないと次の日の仕事でヤバいかなと45分程練習しました。

そして街をほんの少し散歩して11時半にバスでウィーンへ向けて出発しました。


4時間半程かかりウィーンの空港へ。行きも帰りもエア・フランスでしたが、ウィーンの空港のエア・フランスの窓口は工事中。まったく。

でも日本の空港では絶対に出来ないチェロの席のチェックインが機械で出来ましたから、あれは有り難かった。
そしてパリ経由で成田に帰って来ました。


今回、ツアーコンダクターの平林さんがいなかったら、ギリシャ、クラーゲンフルトのコンサートはひょっとしてキャンセルになっていたかもしれません。

ツアーコンダクターとは良く言ったもので、素晴らしい指揮者と一緒で、兎に角メンバーだけでは行けない所に連れて行ってくれるという意味ではまさにツアーの指揮者です。

そんな最高の添乗員さんを得て、多くの方の協力で無事にコンサート3回を終え無事に帰って来れた事を感謝いたします。

今日早速仕事に行きましたが、やはり相当疲れているみたいで今はただただぐったり。明日から名古屋、そして大阪と今度は国内の旅です。

服部譲二くんは次のツアーは南米だと言っていましたが、メンバーのスケジュールを尋ねる前に、スーパーツアコンの平林さんの予定をまず押さえる事が第一だと思います。


さて、明日からまた一週間旅ですから、準備でもしますかね。
東京アンサンブルのメンバーの皆さん、ありがと。
神は感謝しておるぞ。