ドボルザークの弦楽セレナーデ

この弦楽セレナーデは、稀代のメロディー・メーカーであるドボルザークの魅力を存分に聴かせてくれる何とも美しい曲ですが、どちらかと言えばホ長調という調性は避けて欲しいかった。これがどうしても弾きにくい。避けて欲しいって言っても、この調性だからこの美しさになっている事は百も承知なんですが。
♯(シャープ)が4つついているのですが、僕のイメージではこの調性は硬派で緑。なんのこっちゃ。多分「緑」というのはビバルディの四季の「春」がこのホ長調なのでそのイメージが強いんでしょう。そんなもんです。耳が悪いと言われ続ける人間の感じる事の奥行きの無さは。
さ、気を取り直して、そうそうドボルザークの弦楽セレナーデ。
1番最初に弾いたのは学生時代、故江藤俊哉先生が組織していた俗称「江藤オケ」というのに大学2年生の時に入れてもらい弾いたのが最初。
弾けない部分が沢山あったけど兎に角素晴らしく美しい曲だと思ったな。チャイコフスキーの弦楽セレナーデはそれこそ50回以上は弾いているものの、このドボルザークの方はこれほど美しいのに弾く機会が少ないですね。
宮本さんはかく語りき。「ドボルザークと言うのは本当に巧く吹けない作曲家で、絶対オーボエを憎んでいたはず。だからドボルザークと聞いただけでこいつかよっ!て思っちゃうんだよね」と。
楽器によって、また調性によって弾きやすい曲、弾きにくい曲ってあるんですね。
この曲、意外にも久しぶりで、改めて美しさに脱帽。11月の半ばの東京アンサンブルのメインの曲も実はこのドボルザークなんですよね。
弦楽合奏の為の曲、素晴らしい曲が星の数ほどありますが、疲れ果ててリハーサルの最後にモーツアルトのディベルトメントをやりましたが、なんなんでしょうか、あの美しさは。びっくりしました。何度弾いても身体が浮遊するほど美しいぞ。
シンプルでこれほど美しい曲を1700年代に書かれたら、その後の作曲家はイライラしただろうなぁ。

油断してたら明日・明後日と演奏会じゃないか。

頑張って弾くというより、ステージ上では感じて、聴いて、その曲に身を委ねたいな。