サプライズ・バースデイ・パーティ IN 広島

カルテットで地方で演奏するとは書きましたが、実は広島の沼隈という所に行って来ました。場所を書けなかったのはサプライズ・パーティだったからなんです。どんなパーティかと申しますと、先日、宮本さんの還暦について書きましたが、もう一人還暦を迎えられた素晴らしい音楽家がいるんです。それは指揮者の小泉和裕さんです。今月の半ばが誕生日でしたが、いろんな財界の偉い方々が企画なさったパーティが広島で企画されていました。そこにその皆さんから小泉さんへのプレゼントとして我々カルテットが伺った訳です。
場所は常石造船という巨大企業のゲストハウス。その常石造船の代表、矢崎総業の会長、鈴与グループの会長等々、蒼々たる方々と小泉さんの奥様が小泉さん本人には全く内緒でこの演奏のプレゼントの企画をされました。そのパーティでその事を知らなかったのはただ一人、小泉さんのみ。奥様や僕たちはもちろんの事、その蒼々たる方々からゲストハウスのスタッフまで一人残らずこの計画を知っておりました。しかしこんな事が無いと僕の身分ではお会い出来ない様な方々ばかりでしたね。
小泉さんの奥様からスタッフに「ただいま小泉は昼寝に入りました」と連絡が入ると僕たちに「お昼寝なさっているようですから、温泉に入るのなら今のうちです」と即座に連絡が入る徹底ぶり。全ての人がインカムを持って情報を共有してましたね。完全無欠の徹底ぶりでした。
そんな話を頂いたのが、今年の初夏。小泉さんの奥様から矢部くんに依頼が行き、そして矢部くんから連絡をもらい、ひたすら内密にこの計画は膨らんでいきました。矢部、鈴木学と僕のまあ極悪仲間ですから、一人の立派なマエストロを騙す事なんて簡単な事かもしれません。
しかし僕らが小泉さんの前に楽器を持って現れた時の驚き様は凄かった。
「えっっっっ 嘘だろっっっっ」と飛び上がっていましたから。その時点で僕らは良い演奏するより重要なミッションを果たしたのでした。
演奏も小泉さんに喜んで頂けて、僕たちは非常に満足な夜でした。そして今日、すぐ近くにある「ポニョ」で有名な「鞆の浦(とものうら)」という街、先日橋の建設の是非を巡って裁判の判決が出た事で有名になった街を案内して頂きました。以前訪れた尾道に似た瀬戸内海の小さな本当に日本的な素晴らしい街でした。

小泉さんが声を詰まらせながら「60歳は指揮者にとっては鼻タレ小僧ですが、こういう彼等の演奏を聴いてまた頑張って勉強しようと思います」と挨拶していましたが、そんなマエストロにもらい泣きをした僕たちですが、、寝る前に「今、基礎をもう一度見直さないと、60歳まで弾けないよな」という話で意見が一致して、頑張ろうと言いながら眠りにつきました。