サイトウ・キネン日記 6

僕にとってはこの旅も終りに近づいた昨夜、チェロ・セクションの飲み会で遅くまで騒ぎました。なんとも絶妙な人数なんでしょうか、チェロ・セクションはとてつもなく仲が良いです。他の楽器が仲が悪いということではなく、集まろうとすればいつでも全員集まれる人数だし、「初めまして」という間柄でもなく、どこかで一緒に仕事をした人ばかりなんです。
冷静に昨夜のチェリストを見ると、岩崎さんや原田さんをはじめ、上村さんから北本さん苅田さんと、立派な方々ばかりです。それもチェロ界を背負ってきた人たちばかりなんです。そんな方々と普通に接してもらっている事が嬉しく喜びの気持ちでいっぱいである事と同時に、僕と彼らの差はいったい何で、いったいどれぐらいあるんだろうとホテルに帰ってからぼんやり考えていました。
僕がコンクールを受けた時の審査員ですからね、みなさん。
まあ、ただただがんばって勉強することしかないと思いながら寝ました。
皆さんの子供のころに受けた斉藤先生からの激怒等の話を聞きながら、やはり僕が受けた厳しいレッスン等は脈々と受け継がれているんだと思いました。当時はなんで僕だけこんなに怒られるんだと思っていましたけど。
皆さん、ひょっとしたら僕よりも屈辱侮辱を受けたかもしれません。
しかしいい時間でした。
これを今度は伝えて行く立場になるんだろうな。
伝えるにしても、それを伝えるのに恥ずかしくないチェロを弾いていないと。
さて、今夜も戦争レクイエム。
回数をやると一回一回何かが変化していきます。
今日はまたどう熟成されたのかが楽しみです。