若杉弘さん

先日指揮者の若杉弘さんが亡くなりました。都響時代の彼の想い出はここに書ききれない程あります。しかしその当時の僕は情けない事に若気の至りなんていうレベルでは片付けられない究極の無知にを武器に若杉さんに食ってかかったりしていました。本当に申し訳ない。ワーグナーのオペラをやっていて、僕が勉強してきた狭い知識の中でのワーグナーの音楽を主張して、彼が言葉の意味や動きから全てがこうあるからテンポはこうだと言っているのに、言葉もわからない、実際そのオペラをオペラハウスで見た事も無い僕がなんでそんな偉そうに言えたんでしょうね。だけど丁寧に教えてくれました。それでもカッカ来ている僕は本当に情けない人間でした。あの20代はいつもなんかイライラしてたな。やがて都響を辞めた訳ですが、辞めた後に矢部くんの結婚式で若杉さんにお会いした時に、どうも僕のスピーチにウケていらっしゃったとみえて、「山本の話は笑ったよ。そんな事が言えるのならもっと都響にいる時に話したかったな」とおっしゃっていました。
僕は幾ら音楽監督若杉弘といえどもけんか腰とまではいきませんが、なんかいつも戦闘態勢でしたから彼も嫌だったんだろうとその時ようやく思いました。
新国立劇場等や、実際一緒の舞台ではありませんでしたが、びわ湖ホールなんかでばったりお会いしたりした事は何度もありましたが、若杉さんが指揮をされてその下で弾いたのは数年前の定期演奏会マーラーの巨人が最後です。
生意気だった事をお許しください。
心よりご冥福をお祈りいたします。