原点回帰

ちょっと前に書きましたが、僕の最初の名古屋でのチェロの師匠の現役の生徒さん、そしてOBの方々とのチェロ・アンサンブルのコンサートが無事終わりました。その直前の合宿では子供の頃のあらん限りの思い出に花が咲き、「山本裕康」という人物がどうやって作られて行ったのか、その今まで謎だった部分が彼等の証言で少しだけ埋められた気がします。
あそこに参加してた多くの友達以外にも参加されなかったOBはもちろん沢山いますが、どんなにお互い年齢を重ねても、またどんな仕事をされていようが、いい友達でいられたと言う事が僕にとっては大事な宝です。
職業、年齢なんて本当に関係が無いんだと確信しました。だれが偉くて、誰が偉くないという事を考えなくてもいい関係、それが音楽が結ぶ人間のつながりなんだと思いました。
演奏家であると自分で言えば演奏家になれます。演奏家になる事は至って簡単です。それを続ける事が1番大変で大切な事です。それは言ってみれば生きると言う事に他なりません。生きる事が実は凄く大変であると言う事をその先生は教えてくれていたんだと言う事に気付いたのは最近です。同じ事を厳しく教えられた仲間達は皆さん立派な人生を歩んでらっしゃいます。現役の生徒さんたちもその父兄の方々も、その「イズム」は継承され、またいろんな所でいい仕事、いい人生を送るんだろうと確信しています。
先生はポロッとスピーチでこうおっしゃいました。
「なんであんなに昔は怒ってばかりいたかというと、どうしたらいいのかわからなかったんだよ」と。
でも、そのわからなかったという事実が僕らを育ててくれたのですから。それは先生が真剣に悩んだ結果であって、わからなかったといえども試行錯誤の連続であったと思います。そしてそれを名古屋で40年近くも続けて来られた事に最大の敬意を払いたいと思います。

僕自身も当時の沢山の仲間にあって、再びこうやって新たな関係を築けた事、そして原点をもう一度見いだせた事でこのゴールデンウィークはまさに「黄金の一週間」になりました。