神奈川フィル・リハーサルを公開

今年の4月から常任指揮者に金聖響さんが就任した事は、いろんな記事やらニュースを見て、知ってらっしゃる方も多いかと思います。明後日その就任披露演奏会がみなとみらいホールで行なわれます。そして今年の4月から、常任指揮者のコンサートのリハーサルは全て公開され、どなたでもホールの中に入って聴く事が出来る様になりました。興味がある方、お時間の許す方、本番は行けないけどリハーサルのこの時間は行けるという方々、いつでもいらっしゃってください。

今日はリハーサル2日目でしたが、お客様がいらっしゃる中でも聖響さんはガツガツビシビシリハーサルしてました。マジやる気だなあの男。

オーケストラで仕事をしていて、僕が1番大切に思っているエスプリは、大げさですがカラヤン(もう亡くなりましたが)でも、クライバー(このかたも既に亡くなられました)でも、サイモン・ラトル(まだ全然生きてます)でも、もちろん聖響さん(今日目の前で見ました)でも、彼等からどんな要求をされても涼しい顔をして「僕はなんでも出来ますから、どんな要求でもしてください」と言える腕を持つ事です。それが本当のプライドだと思うのです。「プライド」っていう言葉は日本では凄くなんかいやらしい意味に捉えられがちですが、つまり誇りですね、演奏家としての。

そのリハーサルが終わったあと、聖響さんとオーケストラのメンバーとの意見交換会がありました。もちろん参加は任意ではありましたが、全員出席の業務にしていいぐらいだと僕は思いました。欠席された方も結構いましたが凄く残念です。もちろん予定があって出られない方もいらっしゃると思いますが、確定スケジュールが一ヶ月半前に出た時からこのミーティングは決まっていましたから。だから指揮者に対してどうこうではなく、自分の未来に対して期待がないのかなと感じました。物を言う唯一のチャンスですからね。国政選挙の投票と一緒です。
僕は聖響さんを昔から知っていますし、友人でもありますが、オーケストラでは全くそんな事は関係ありません。僕にとってはマエストロです。彼のやりたい音楽を僕は最大限協力したい。それがオーケストラの団員としての使命ですし、良い悪いを判断するのはお客さんだと言うのが基本ですから。

野球の監督が誰になっても必要とされる選手っているじゃないですか。そういうチェロ弾きでいたいですね。
本番よりリハーサルを見た方が、個々の団員さんの覚悟が見えて面白いと思います。