ブラームス 弦楽クインテット第2番

ただいまリハーサルの真っ最中。今月の19日に白寿ホールで弾く曲です。
ブラームスがこの曲の草稿を出版社に送った際、
「この手紙と共に音楽に別れを告げてもらいたい、やめるべき時がやって来たのは確かなのだから」
というメッセージが添えられていたそうです。でもこの曲が作品111。さらにその後にかの有名なクラリネットクインテットが生まれています。
あまり演奏される機会に恵まれませんが、とんでもなく素晴らしい曲です。どんな曲も言葉では言い表す事は出来ませんが、リハーサルで弾いてもCDで聴いても僕はただ、ノスタルジックな想いに胸が張り裂けそうになります。
ずっとこの曲は東京芸大でリハーサルをしていますが、今日リハーサル前に師匠である山崎伸子先生に芸大でお会いしました。
僕の両親は本当に彼女の演奏が好きで、名古屋であった彼女のコンサートはほとんど聴きに行っています。そして木曽福島音楽祭で山崎さんが演奏したこのブラームスの弦楽クインテットの第2番も両親は聴きに来ていました。あの演奏は本当に素晴らしく、山崎さんから演奏後に「どうだった?」と聴かれ「ここに山崎あり!という低音の弾き方を知りました」と素直に言ったのに叩かれました。そんな想い出が頭をよぎりながら話していたら山崎さんが
「12月の私の演奏会で裕康のお母さんの事祈って弾いたよ」
と言われ、思わず落涙してしまいました。山崎さんも目を真っ赤にしていらっしゃって、僕は正直しゃがみ込んで泣きたかったな。まだまだ立ち直れていないな。
そしてこの曲のリハーサル。たまりませんでした。

ブラームスって裕康にとって一言でどんな作曲家?と聞かれた事があります。
僕にとって一言で言うのは難しいですが、あえて言うと

「本当に懐かしいなぁ あの頃はもう戻れないんだよね」

かな。