25年前の誕生日に

誕生日と雪でフラッシュバックです。

我が母校、桐朋学園大学の入学試験はチェロの実技から始まり、ピアノ、音楽理論ソルフェージュ、論文、面接と、毎日1科目ずつ試験があり、チェロ実技の前に伴奏合わせが2日間ありましたから、一週間以上かかる長い挑戦でした。その中で僕自身全く自信がなかったのがソルフェージュ及び聴音でした。
実際、その場で渡された楽譜を歌う事と、ピアノで弾く曲を五線紙に書き取るだけなんですが、なにせ音感が悪いと愚弟に酷評されるぐらいでしたから、それはそれは苦労しましたし、自身がありませんでした。
そして、そのソルフェージュの試験の日が僕の誕生日でした。さらにその年は大雪が降りかなり積もってました。なんでこのソルフェージュの日に限って雪なんだと凄く早く宿泊先を出た事を凄く良く覚えています。
その年は見事に桜散るでした。
その年に宿泊した所は今はもう跡形も無くなってしまいましたが、新宿の旅館でした(まだあったんですよ、その頃は。稲葉屋旅館とか言ったような気がします)。食べ物も美味しく、凄く居心地はよかったのを覚えています。試験が終わると街をぶらぶらする事もなく、丁度連載が始ったばかりの週間文春の「疑惑の銃弾」を読んでたなぁ。
1年の浪人も一瞬にして終わり、また入学試験を受けましたが、その年もソルフェージュが僕の誕生日でした。2年連続、気分が悪い誕生日でした。その時は今も健在の駒場エミナースに宿泊してました。

僕の誕生日は2・26事件の日ですが、その当時も雪が降ってたらしいです。
冬も終わりかけのこの時期に意外に雪が降るものですね。
今年も12月にスタッドレス・タイヤにしたのに全く必要ありませんでした。
そんなもんです。

雪も降り天気にまで見放され、不安のどん底にいた25年前の誕生日の日の僕に
「25年後には意外にも音感がない事をネタに笑いがとれるよ、だから自信もてよ」
と伝えてあげたいです。