宮川彬良さん

今日の夜、宮川彬良さんの音楽のレコーディングに行ってまいりました。もう説明などいらないとは思いますが、「マツケン・サンバ」の作曲家です。さらには宮川泰先生の息子さんです。宮川泰先生の「宇宙戦艦ヤマト」の音楽は僕の細胞になって未だに生き続けています。あのメロディを聴くと理由なく目頭が熱くなりますから。
さて、宮川彬良さんですが、もう13 14年程前になりますか、大阪のラジオ番組の生放送で初めてご一緒させて頂いて以来のおつきあいです。
彼の作曲した舞台音楽をかなりの数、一緒に舞台で演奏しましたし、最近ではNHKの子供番組の「クインテット」の収録ではずっとお世話になっております。で、書きたかった事はと言いますと、彼の作曲した曲の凄さを知って頂きたいと思いまして。

と言ってもどんな言葉を羅列するより、1度彼の作曲した曲を聴いて頂いた方が早いのですが。

彼は以前「ルビチ」という韓国語の物語を、歌い手4人、ピアノ、バイオリン、チェロというもの凄く少ない編成でオペラを書きました。それは東京文化会館の小ホールで演奏したんですが、その最小限とも言える編成で、もの凄いドラマティックな曲でした。物語のテキストに合った本当に素晴らしい音楽でした。涙が出る程感動しましたし、聴きにいらっしゃったお客さんも本当に感動してましたね。あれはぜひ再演して欲しいです。全て韓国語の歌詞でした。あれは本当に忘れる事ができません。

かれは「作曲家・舞台音楽家」とプロフィールにいつも書きます。そこが僕は好きなんです。
作った曲を必ず舞台で演奏する。もちろん彼はピアノですが、お芝居でも、バレイでも、兎に角書いてかならず弾く。
そして必ず絶対に心の琴線に触れるメロディが出てくるんです。当然ハーモニーから全て西洋音楽なのですが、日本人のDNAを揺さぶる何かがあるんです。そこが彼のエッセンスであり、素晴らしさだと思います。

彼と仕事をすると本当に楽しい。今生み出された音楽がこんなにもう楽譜を飛び出して生きている、そう感じます。
「ねえ、3年後の3月はどうしてる?僕が生きてたら仕事を頼みたいから、生きてたら引き受けてね」
そうやって彼との仕事は今まで実現してきました。
2年半程前、同じ理由で、全く同じ時期に同じ手術を受けて入院した事もあります。その後仕事で会って「俺、先月入院しててさ、」「え?俺もだよ」という感じで発覚したのですが、その事が、我々を音楽仲間から音楽同志に格上げされた理由だとお互いが思っています。