悲しみのクリスマス

明日(25日)はクリスマスです。世の中は派遣切りのニュースに溢れている割に、どこどこでのイルミネーションが素晴らしいとか、クリスマスの売り上げの凄さがニュースになっていたりして、本当の日本の姿がイマイチわかりません。
そんな明日、クリスマスの日に立川で「悲しみのピアノ3重奏」というコンサートに出演します(12月25日、19時開演、立川女性総合センター・アイム・ホール)
今年亡くなった音楽評論家の長谷川武久先生の追悼のコンサートです。立川で13年間「レクチャー・コンサート」を続けてこられた長谷川武久先生を偲んで企画されました。個人的には武久先生にはリサイタルの評論を書いていただいたり、室内楽のコンサートに聴きに来られた時にいろんな意見を言って頂いたりしました。

曲目は

ショスターコービッチ  ピアノ・トリオ2番 作品67

チャイコフスキー    ピアノ・トリオ イ短調 作品50 「偉大な芸術家の想い出に」

の2曲というハードなコンサートです。

このブログにも書きましたが、この演奏会の依頼を受けたときはまだ僕の母親は元気でした。もちろん明日は武久先生の追悼なのですが、まだ個人的に悲しみが癒えない中、この2曲を演奏する事は非常に辛い経験になると思われます。それに、母親の事を思いながらこの曲を演奏することになろうとはまったく想像していませんでした。聖なるクリスマスにこの悲しみの曲を演奏するという今の日本を象徴する感じではありますが、どんな想いで明日弾く事になるのか、ちょっと想像がまだ出来ないでいます。
毎年、第九やメサイア等で忙しくしているクリスマス・イブ及びクリスマスですが、今年のクリスマスは一生忘れる事ができないクリスマスになりそうです。

昨日まで福岡で毎晩、指揮者の下野くん(マエストロなのに下野くんは失礼ですが)や演奏家の人達と、基本的には15秒に1度は爆笑という非常に体力のいる楽し過ぎる飲み会をしておりましたが、その中で何度か母親の話になりました。下野くんも3年前にお母様を亡くされたらしく、その話を語る下野くんも未だに涙ぐんでいるのを見て、いつまでたってもこういう想いを持ち続けるんだなと思いました。その頃、下野くんはベートーベンの「荘厳ミサ」を泣きながら振ったと言う話を聞き、思わずもらい泣きしました。

でも、明日はとにかくこの悲しい曲の何か新しい事を発見出来たらと思います。
頑張りましょう、と自分を励ましています。