師匠との食事

僕は学生時代3人の先生に習っていました。一人は故・井上頼豊先生、そして秋津智承先生と山崎伸子先生の3人です。
その秋津先生と山崎伸子先生とは未だにお世話になっており、10月のチェロ・グランドコンサートの時にもお二人と
ご一緒させて頂きました。その秋津先生と昨日、食事をしました。
今、秋津先生は広島在住です。素晴らしいチェリストである事は言うまでも無いのですが、広島のお寺の副住職でもあります。
ご実家がお寺でお父様が今住職をやっていらっしゃいます。

その秋津先生からメールを頂きました。
「その後身体はどうだ?お母さんの事もあったし、今東京に来てるから、気が晴れるかもしれないから飯でもどう?」と。

夜9時に恵比寿で待ち合わせて随分長く話しをさせて頂きました。
学生時代はちょっとやそっとでは許してくれないもの凄い厳しいレッスンでしたが、少しも手加減もせず、何も知らない僕を
毎回叩きのめしてくださいました。
毎回徹底的に何度言ってもわからない相手に(僕の事です)常に正直に高いレベルの事を言い続けるという事は本当に根気と
責任感、そして愛情がないと言えない事だと思います。それを秋津先生は何年も言い続けてくださいました。
本当は面倒くさかったと思いますし、なかなか理解出来ない僕に相当イラついていたと思います。でも手を抜く事は一度もありませんでした。
感謝しています。
そんな秋津先生に昨夜は僕の母親についての後悔の事、人生の事、宗教の事、本当に多岐に渡っていろいろと教えて頂きました。
チェロでも全然太刀打ち出来ていませんし、哲学的な事、思想的な事、そして人間的にもかなり僕の先を歩いているんだと改めて思いました。
全然先生に近づいてないどころか、遠くなってるんだなこれが。
僕の身体の変調、母親の事をもの凄く心配してくださっていて、本当に感謝した、そして感動した夜でした。
チェロの事だけでなく、僕の全ての事を遠い所に住んでいらっしゃっても心配して下さる師匠に改めて尊敬の念を強くしました。

山崎先生もそうでしたが、あの半端じゃない厳しさは弟子に対して愛情が無ければ言えません。自分の生徒さんに果たしてそこまで厳しく言えるかどうか、僕はまだまだちょっと甘いのかもしれません。弟子を持つという責任、これは本当に重い物だと思います。

ここ数ヶ月の僕の抱えていた重い悩みや心の奥底にある不安や恐怖や悲しみが少し和らいだ貴重な夜でした。有り難かったです。

いい師匠達に恵まれた事は本当に誇りです。それを今度は伝えないといけないんだと心から思いました。