ヴィルトーゾ・シンフォニー・オーケストラ公演

もうどれぐらい前になるでしょうか?僕が都響に入りたての頃ですから、17年ほど前に第1回のヴィルトーゾ・シンフォーニー・オーケストラの演奏会がありました。未だに忘れられませんが、池袋のアムラッックスという所での演奏会でした。当時は僕もオーケストラに入りたてで、メンバーは東京のオーケストラの首席奏者とコンサートマスターばかりで、もの凄く緊張した記憶があります。それからというもの、順調に回を重ね、毎年東京、名古屋、そしてお正月には大阪での公演が必ずあります。かなりの回数参加させて頂いていますが、最近ここ数年は個人的な仕事とかなり重なってしまう事が多く、1年に1回参加出来ればいいという感じになっていました。それでも懲りずに声をかけて頂いている三枝成彰さんの事務所には本当に感謝しております。今回は、

グリンカ         ルスランとリュドミラ序曲
ベートーヴェン      交響曲第7番
リムスキー=コルサコフ  シェヘラザード

この3曲がプログラムでした。明日もう1日コンサートがありますが、かなりヘビーなプログラムで疲弊いたしました。
同じプルートはN響の首席奏者の木越さん。学生の頃はもちろん先生で、室内楽を見て頂いたりしてました。僕も歳を重ねて図々しくなったなと思いました。木越さんの弾き方やタイミングを見ながら自分の仕事を考えてやっちゃってしまっていて、昔だったら木越さんの隣と言ったら直立不動で話もできませんでしたから。でも普段一緒にオーケストラを弾いていない方々とオーケストラを弾く事は大変な刺激になります。考える事は似ていても、タイミングやどこを聴きながらどういう仕事をしようとしているのかが自分とは微妙に違ったりします。すごく勉強になります。こういう考え方もあるんだと。もちろん音楽に正解はないのかもしれませんが、引き出しを多く持つ事は本当に大事な事なので、いい勉強させていただいております。
このリムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」は何故か僕は経験が多く、都響、広響、神奈川フィル、京響、そして今回のヴィルトーゾと5つのオーケストラで弾きました。オーケストラによって本当に様々です。もちろんまた指揮者が違えばまったく変わりますが、本当に興味深いです。
日本中にオーケストラに細々とした歴史の数々があり、その中の100人近い団員の個人個人にまた膨大な歴史を作りながら人生を生きている。そして世界にはどれぐらいあるのか想像出来ないぐらいのオーケストラがあり、またそれぞれの歴史と伝統がある。本当に皆さんにこの「シェヘラザード」の一曲だけで良いので思い出やこの曲にまつわる自分史、エピソードをインタビューしてみたいです。
凄いドキュメンタリーが出来そうな気がします。
明日もサントリーホールで同じプログラムで演奏会がありますが、そんな事を思いつつ楽しく弾いて来ようと思っています。